奨学金返済に何年かかる?結婚後の家計に負担なら?
「ゲーッ!20年もかかるの?」例えば400万円もの奨学金という名の借金を背負い、社会人生活をマイナススタート!返済に何年かかるのか確認してみたところ、こんな年数が出てきたら、目を疑ってしまうかもしれませんね。こんなに何年も奨学金返済が続くと思うと、その分給料が低いのも同然だと感じることでしょう。これからの生活費や、結婚、出産、子育て、マイホーム購入などライフイベントに支障が出ないか不安になるのも無理もありませんね。また、将来結婚したらどうなるかパートナーも心配しそうです。
そんな不安を抱え、一体どのように奨学金を返済するのがよいのでしょうか?
・奨学金の返済に何年もかかる人
・奨学金の返済負担のため、結婚後の家計が不安な人
・奨学金を背負って後悔したくない人
奨学金返済に何年かかる?
まずは奨学金返済に何年かかるのか、借入先の情報を確認しましょう。
例えば、独立行政法人 日本学生支援機構の奨学金を定額返還方式で返済する場合の例を挙げます。
項目 | 例1 | 例2 |
毎月の借入 | 3万円 | 7万円 |
借入期間 | 4年間(48ヶ月) | 4年間(48ヶ月) |
借入総額 | 144万円 | 336万円 |
割賦金の基礎額 | 11万円 | 28万円 |
返還期間 | 13年 | 20年 |
独立行政法人日本学生支援機構(※)の奨学金返還年数算出表のデータをもとに作成。 |
※https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan/houhou/henkan_hoshiki/henkan_kikan/index.html
また、厳密には奨学金の種類、返済方法、借入金額、金利などの条件により、返済期間は変わってきますが、同機構の次のページでは詳細条件をもとにシミュレーションをすることができます。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/oyakudachi/document/simulation.html
奨学金の理想的な返済方法は?
結婚するまでに繰り上げ返済により全額完済することが理想です。
結婚前に完済するメリットは?
結婚前に完済することで、純粋な資産を把握して生活設計をしやすくなります。
- (a) 結婚時点で奨学金の負債がゼロであれば、預金などの現物をそのまま純資産と考え、生活設計しやすくなります。例えば次の例では、単純に預金=純資産=400万円と考えればよいですね。
(a) 結婚時点のバランスシート | |||
[資産] | [負債] | ||
預金 | 400万円 | 奨学金 | 0万円 |
[純資産] | |||
400万円 | |||
合計 | 400万円 | 合計 | 400万円 |
- (b) 一方、結婚時点で奨学金の負債が残っている場合はどうでしょうか?次の例では、預金700万円も貯めていることを前提に生活設計をしてしまわないでしょうか?実際には純資産として400万円しか無いことを前提に考えないと、家計が破綻してしまうかもしれませんね。
(b) 結婚時点のバランスシート | |||
[資産] | [負債] | ||
預金 | 700万円 | 奨学金 | 300万円 |
[純資産] | |||
400万円 | |||
合計 | 700万円 | 合計 | 700万円 |
また、結婚して家計が一緒になると、パートナーの奨学金の返済状況も家計に影響する大きな要素となります。
自分がどれだけ学生時代に頑張って学費を稼ぎ、節約してきたかや、親が自分のためにどれだけ頑張って学費を用意してくれたかは、家庭により様々です。パートナーの家庭とギャップが大きい場合、不公平感を感じるかもしれません。
これらのことから、奨学金は結婚前に完済してスッキリできるのが理想ですね。
繰り上げ返済で後悔しないためには?
ただし、繰り上げ返済を頑張り過ぎることにも注意が必要です。
出産などのライフイベントに伴う出費や、失業による収入ダウンなどにより、結婚後も今の収支が続くとは限りません。そのため、ある程度の手元の資金を残しておくことが重要です。
では、どれだけ手元にお金を残せばよいのでしょうか?パートナーの分も含めた奨学金返済を考慮して見積もる必要があります。この記事では、次のシナリオの設定条件でシミュレーションしてみます。
シミュレーション
〜奨学金の返済条件による将来の家計への影響は?後悔しないために!〜
シナリオの設定条件
- 家族条件
家族条件 | 歳(現在) | 生計から外れる |
将来の夫 | 22 | 100歳で死亡 |
将来の妻 | 19 | 100歳で死亡 |
将来の第1子 | 9年後に誕生 | 23歳で独立 |
将来の第2子 | 12年後に誕生 | 23歳で独立 |
- 現在22歳、19歳の男女が、8年後(それぞれ30歳、27歳)に結婚するものとします。
- 比較条件
比較項目 | ケース1 | ケース2 | ケース3 | ケース4 |
マネープラン | 夫の奨学金を知らない妻の目論見 | 奨学金返済を計上すると破綻 | 奨学金返済を考慮し、見合った生活 | 結婚までに全額返済し、見合った生活 |
奨学金返済の方法 | 結婚後も夫41歳まで定額返還(約2.6万円/月)が続く。 | 結婚前に繰り上げで完済。 | ||
生活費 | 並 | 並 | 控えめ | 控えめ |
- その他の詳細データはこちらを参照。
1. 夫の奨学金を知らない妻の目論見
ではまず、夫の奨学金返済が残っていることを把握しないまま、妻が目論んでいた将来の家計についてシミュレーションしてみます。この場合、夫の奨学金の返済負担の考慮が漏れたまま、将来の金融資産残高をプラスに維持できればよいと考えます。
結婚した時点(夫30歳)で、2000万円以上もの金融資産を二人で貯めており、将来子どもが2人できても何とかやりくりできると妻は見通していました。
2. 奨学金返済を計上すると破綻
しかし、ケース1に対して奨学金返済をきちんと計上してみると、将来の家計はどうなるのでしょうか?
なんと、50代で資金ショートしてしまいますね。奨学金返済の負担をきちんと見積もりに反映しておくことは重要だと分かります。
3. 奨学金返済を考慮し見合った生活
では次に、夫の奨学金返済を考慮して見合った生活レベルに落としてみましょう。
初めから奨学金返済の負担を考慮して生活費を調整していれば、将来の家計も見通せますね。
ただし、夫の奨学金返済ばかり極端に大きく、妻は不公平感も感じるかもしれません。十分な話し合いが必要ですね。
4. 結婚までに完済し見合った生活
では最後に、結婚までに夫が奨学金を完済したケースについて、シミュレーションしてみます。この場合、結婚時点で現物として見えている預金(夫30歳時点で1600万円程度)を前提に、生活費を調節すればよいのです。
このケースでは、夫が結婚直前に全額を繰り上げ返済しても、金融資産をプラスに維持できる見通しですので、手元に残す資金も十分だと分かりますね。
まとめ
奨学金返済に関して次のポイントを見てきました。
- まずは奨学金の返済に何年かかるのか、借入先の情報を確認しましょう。
- 結婚までに繰り上げ返済で完済するのが理想的です。
- ただし、繰り上げ返済は将来の家計を維持できることを前提とし、無理のない範囲でしましょう。
- 結婚後は返済負担を考慮したマネープランを立てることが重要です。
個人の価値観や諸事情により、どうしても結婚後に大きな奨学金負担を残さざるを得ないケースもあります。その場合、生活が苦しくなってから慌てないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。
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