大企業から転職!年収ダウンしても後悔しない?

大企業から転職!年収ダウンしても後悔しない?

「自分は一体何をしているのだろう?」大企業の歯車として激務が続く日々・・・。本質的な仕事からかけ離れた手続きや、誰の仕事なのか分からない雑務、人間関係の仲裁などをしているうちに1日はあっという間。週末はバタンキューで、とてもプライベートどころではない。成果の満足度やスキルアップを感じられれることもなく、このままでは自分を見失ってしまいそう・・・。
こんなことなら、年収ダウンを覚悟してでも、もっと自分の裁量でやりがいを持って働けそうな中小企業に転職したい!と思うかもしれませんね。

しかし、本当に収入ダウンして後悔しないのか、漠然とした不安もあることでしょう。

  • そもそも家計が破綻しないのか?
  • 住宅ローンを返せるのか?
  • 子どもたちの教育費を出せるのか?
  • 年金や退職金が減っても、老後の生活は成り立つのか?
  •  :

転職の結果、家族の生活が苦しくなり、家庭内の不和や、自分の精神衛生の悪化に陥ってしまっては、元も子もありませんね。

この記事はこんな人におすすめ
・大企業から転職を考えている人。
・転職の動機が年収以外である人。
・年収ダウンが不安で踏み切れない人。

家計の面で漠然とした不安から抜け出し、安心して転職の判断をするには、どうすればよいのでしょうか?



年収ダウンが不安だが転職してよい?

  • 漠然と年収ダウンの不安を抱えたまま転職するのは危険です。
    将来の家計をシミュレーションすることで、年収ダウンしても家計が破綻しないことを見通して判断することをお勧めします。
  • 年収だけでなく、安定性も重要です。
    長期的に収入が安定しなければ、いずれ家計の破綻になりかねません。大企業のメリット(安定した雇用や収入、企業年金、福利厚生など)を失った後で、いかに恵まれていたのかに気づいても遅いのです。

とはいえ、「年収ダウンを覚悟してでも転職したい!」と思うからには、それなりの理由があるに違いありません。実際にどのような理由で転職し、その後どのように感じているのでしょうか?

転職理由と満足度の実態は?

どのような理由で転職する方が多いのでしょうか?「令和2年転職者実態調査」(厚生労働省)を加工して作成した次の表によると、転職者が現在の勤め先を選んだ理由としては、仕事の内容・職種などの賃金以外の理由が多いことが分かります。

転職者が現在の勤め先を選んだ理由
(3つまでの複数回答)
仕事の内容・職種に満足がいくから41.0%
自分の技能・能力が活かせるから36.0%
労働条件(賃金以外)がよいから26.0%
賃金が高いから15.0%
「令和2年転職者実態調査」(厚生労働省)(※)を加工して作成
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/6-18c-r02.html

では、実際に賃金に満足しているのでしょうか?同調査を加工して作成した次の表によると、事業所規模1,000人以上の勤め先で特に満足している方が多いことが分かります。

転職者の現在の勤め先における「賃金」の満足度
事業所規模満足不満足
1,000人以上58.8%22.7%
300〜999人49.5%27.6%
100〜299人46.1%27.8%
30〜99人47.0%30.2%
5〜29人44.8%25.7%
「令和2年転職者実態調査」(厚生労働省)(※)を加工して作成
※https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/6-18c-r02.html

大企業から中小企業に転職する場合は「年収ダウンの覚悟」が必要になりそうですね。そのためにも、しっかりと将来の家計の見通しを立てて判断することが重要です。

この記事では、次のシナリオの設定条件で将来の家計をシミュレーションしてみます。


シミュレーション
〜年収ダウンの家計への影響は?〜

シナリオの設定条件

  • 家族条件
家族条件歳(現在)生計から外れる
30100歳で死亡
27100歳で死亡
第1子023歳で独立
第2子3年後に誕生23歳で独立
  • 主な比較項目
比較項目金額 (単位:万円)
ケース1ケース2ケース3
転職しない1度のみ繰り返す
給与多い
安定
転職で少し下がったが安定転職のたびに下がる
多い 転職後は並転職後は無し
生活費多い
教育費※私立高校私立高校公立高校
私立大学理系私立大学理系国公立大学
※2人の子どもとも同じ条件とする。
  • その他の詳細データはこちらを参照。

1. 転職せず大企業にぶらさがれば?

ではまず、転職せずに今勤めている大企業にぶら下がり続けた場合について、シミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

1. 転職せず大企業にぶらさがれば?

さすが大企業!このまま転職しなければ、生活費にゆとりを持っても、家計の面では一生安心ですね。しかし、賃金以外の面で満たされないままになってしまい、幸せな働き方とは言えないでしょう。

2. 収入ダウンしても長期安定なら?

では次に、収入ダウンを覚悟して転職したケースについて、シミュレーションしてみます。この場合、転職後の雇用や収入は安定しており、以降は定年まで勤め上げるものとします。また、生活費は並のレベルに抑えます。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

2. 収入ダウンしても長期安定なら?

転職により年収は下がっても、その後の収入が安定しており、生活費のやりくりをすれば、将来の家計の見通しが立ちそうですね。

3. 転職後は不安定な転落人生

では最後に、転職先の雇用や収入が不安定なため、転職を繰り返したケースについてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

3. 転職後は不安定な転落人生

40代以降で転職のたびに年収がダウンし、教育費のピークとも重なって、一気に金融資産が減ってしまいます。子どもたちの進路は高校も大学も国公立に制限したあげく、老後の家計は完全に破綻してしまいますね。

こんなことでは家庭内不和を招き、稼ぎ手が憎まれるといった構図になりかねません。やりたい仕事を求めて転職したはずだったのに、仕事も失い、家庭も失い、まさに転落人生。こんな状況は避けたいですね。

まとめ

大企業から転職しようとする場合、年収がダウンして後悔しないかと不安になるのも無理もありません。そんな場合、漠然と不安を抱えたまま転職するのではなく、将来の家計をシミュレーションし、安心して判断することをお勧めします。

ただし、大企業のメリット(安定した雇用や収入、企業年金、福利厚生など)を失った後で後悔しないように、転職後の雇用や収入の安定性も重視して判断しましょう。

とはいえ、個人の価値観や諸事情により、将来の家計の見通しが立たなくても転職を優先せざるを得ないケースもあります。その場合、実際に生活が立ち行かなくなってから慌てないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。



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