大企業から転職!年収ダウンしても後悔しない?
「大企業から転職して年収ダウンした場合、後悔するかな…」と悩んでいませんか?大企業での激務に追われ、成果やスキルアップの実感もなく、プライベートも犠牲にする日々が続く中、年収ダウンを覚悟して中小企業に転職したいと考えることもあるでしょう。
しかし、年収が下がることで本当に後悔しないのか、以下のような不安や心配が浮かぶかもしれません。
- 家計が破綻しないのか?
- 住宅ローンを返せるのか?
- 子どもたちの教育費を出せるのか?
- 年金や退職金が減っても、老後の生活は成り立つのか?
転職を決断する前に、これらの懸念にどう対処するかを考えることが大切です。年収ダウンに対する具体的な対策や準備を行うことで、後悔を最小限に抑え、満足のいく転職を実現しましょう。
・大企業から転職を考えている人。
・転職の動機が年収以外である人。
・年収が下がることで後悔しそうでで踏み切れない人。
家計の面で漠然とした不安から抜け出し、安心して転職の判断をするには、どうすればよいのでしょうか?
年収下がると後悔しそうだが転職する?
- 漠然と年収ダウンの不安を抱えたまま転職するのは危険です。
将来の家計をシミュレーションすることで、年収ダウンしても家計が破綻しないことを見通して判断することをお勧めします。 - 年収だけでなく、安定性も重要です。
長期的に収入が安定しなければ、いずれ家計の破綻になりかねません。大企業のメリット(安定した雇用や収入、企業年金、福利厚生など)を失った後で、いかに恵まれていたのかに気づいても遅いのです。
とはいえ、「年収ダウンを覚悟してでも転職したい!」と思うからには、それなりの理由があるに違いありません。実際にどのような理由で転職し、その後どのように感じているのでしょうか?
転職理由と満足度の実態は?
どのような理由で転職する方が多いのでしょうか?「令和2年転職者実態調査」(厚生労働省)を加工して作成した次の表によると、転職者が現在の勤め先を選んだ理由としては、仕事の内容・職種などの賃金以外の理由が多いことが分かります。
転職者が現在の勤め先を選んだ理由 (3つまでの複数回答) | |
仕事の内容・職種に満足がいくから | 41.0% |
自分の技能・能力が活かせるから | 36.0% |
労働条件(賃金以外)がよいから | 26.0% |
: | : |
賃金が高いから | 15.0% |
「令和2年転職者実態調査」(厚生労働省)(※)を加工して作成 ※https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/6-18c-r02.html |
では、実際に賃金に満足しているのでしょうか?同調査を加工して作成した次の表によると、事業所規模1,000人以上の勤め先で特に満足している方が多いことが分かります。
転職者の現在の勤め先における「賃金」の満足度 | ||
事業所規模 | 満足 | 不満足 |
1,000人以上 | 58.8% | 22.7% |
300〜999人 | 49.5% | 27.6% |
100〜299人 | 46.1% | 27.8% |
30〜99人 | 47.0% | 30.2% |
5〜29人 | 44.8% | 25.7% |
「令和2年転職者実態調査」(厚生労働省)(※)を加工して作成 ※https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/6-18c-r02.html |
大企業から中小企業に転職する場合は「年収ダウンの覚悟」が必要になりそうですね。そのためにも、しっかりと将来の家計の見通しを立てて判断することが重要です。
この記事では、次のシナリオの設定条件で将来の家計をシミュレーションしてみます。
シミュレーション
〜転職で年収ダウンでも幸せ?家計への影響は?〜
シナリオの設定条件
- 家族条件
家族条件 | 歳(現在) | 生計から外れる |
夫 | 30 | 100歳で死亡 |
妻 | 27 | 100歳で死亡 |
第1子 | 0 | 23歳で独立 |
第2子 | 3年後に誕生 | 23歳で独立 |
- 主な比較項目
比較項目 | 金額 (単位:万円) | ||
ケース1 | ケース2 | ケース3 | |
転職 | しない | 1度のみ | 繰り返す |
給与 | 多い 安定 | 転職で少し下がったが安定 | 転職のたびに下がる |
多い | 転職後は並 | 転職後は無し | |
生活費 | 多い | 並 | 並 |
教育費※ | 私立高校 | 私立高校 | 公立高校 |
私立大学理系 | 私立大学理系 | 国公立大学 | |
※2人の子どもとも同じ条件とする。 |
- その他の詳細データはこちらを参照。
1. 転職せず大企業にぶらさがれば?
ではまず、転職せずに今勤めている大企業にぶら下がり続けた場合について、シミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?
さすが大企業!このまま転職しなければ、生活費にゆとりを持っても、家計の面では一生安心ですね。しかし、賃金以外の面で満たされないままになってしまい、幸せな働き方とは言えないでしょう。
2. 収入ダウンしても長期安定なら?
では次に、収入ダウンを覚悟して転職したケースについて、シミュレーションしてみます。この場合、転職後の雇用や収入は安定しており、以降は定年まで勤め上げるものとします。また、生活費は並のレベルに抑えます。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?
転職により年収は下がっても、その後の収入が安定しており、生活費のやりくりをすれば、将来の家計の見通しが立ちそうですね。
3. 転職後は不安定な転落人生
では最後に、転職先の雇用や収入が不安定なため、転職を繰り返したケースについてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?
40代以降で転職のたびに年収がダウンし、教育費のピークとも重なって、一気に金融資産が減ってしまいます。子どもたちの進路は高校も大学も国公立に制限したあげく、老後の家計は完全に破綻してしまいますね。
こんなことでは家庭内不和を招き、稼ぎ手が憎まれるといった構図になりかねません。やりたい仕事を求めて転職したはずだったのに、仕事も失い、家庭も失い、まさに転落人生。こんな状況は避けたいですね。
まとめ
大企業から転職しようとする場合、年収がダウンして後悔しないかと不安になるのも無理もありません。そんな場合、漠然と不安を抱えたまま転職するのではなく、将来の家計をシミュレーションし、安心して判断することをお勧めします。
ただし、大企業のメリット(安定した雇用や収入、企業年金、福利厚生など)を失った後で後悔しないように、転職後の雇用や収入の安定性も重視して判断しましょう。
とはいえ、個人の価値観や諸事情により、将来の家計の見通しが立たなくても転職を優先せざるを得ないケースもあります。その場合、実際に生活が立ち行かなくなってから慌てないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。