金持ち大学生の仕送りは20万円も?10万円で足りないなら?

金持ち大学生の仕送りは20万円も?10万円で足りないなら?

「いいなぁー、アイツの家は金持ちだから仕送り20万円も羨ましい!都会で大学生が一人暮らしするのに毎月の仕送り10万円じゃ足りないよ!」
「そんなこと言ったってうちにはそんなお金はないんだ!このままでは父さんや母さんたちの老後も破綻しちゃうよ・・・。足りないなら自分で何とかしろ!」

初めての一人暮らしをする大学生!お金がなくて生活が苦しいのは不安なことでしょう。一方、親側も子どものためとはいえ、そんなに大金を仕送りしていては、自分たちの貯金もあっという間に吹っ飛んでしまう…。親子ともにこんな切実な状況の場合、どのように仕送り額を決め、やりくりすればよいのでしょうか?

この記事で分かること
親子ともにお金の心配をせずに済むように
・親子で納得して仕送り額を決める方法
・仕送りでは足りない場合の子の収入増・支出減の方法
 

仕送り額をどう決め、どうやりくりする?

親子で納得して仕送り額を決め、親子ともにやりくりをするためには、次の順で考えることをお勧めします。

  1. 親の将来の家計をシミュレーションし、仕送り限度額を親子で理解する。
  2. 足りない分を奨学金とアルバイトで賄う。ただし、いずれも限度を設ける。
  3. それでも足りない分は、住居費を中心に生活費を削減できないか検討する。

そのメリットは?

  • 親の老後破綻を回避できる。
  • 親の家計のシミュレーションを見て、子は親の精一杯を理解し、仕送り額に納得・感謝できる。
  • 子の自立に向けて、アルバイトで社会経験を積むことができ、家計やりくりの観念もしっかりする。

大学生の一人暮らし費用はきつい?

大学生の一人暮らしにどれくらいの費用がかかるのでしょうか?「令和2年度学生生活調査結果」(独立行政法人 日本学生支援機構)のデータをもとに計算すると、下宿やアパートなど(自宅・学寮は除く)で暮らす学生の毎月の生活費は平均約9.2万円です。

学生生活費の内訳(大学昼間部)
下宿、アパート、その他 (自宅・学寮以外)
費目年間月間
食費273,40022,783
住居・光熱費497,70041,475
保健衛生費42,3003,525
娯楽・し好費136,20011,350
その他の日常費158,80013,233
小計(生活費)1,108,40092,367
出典:「令和2年度学生生活調査結果」(独立行政法人 日本学生支援機構)(※)のデータより月間のデータは、左の年間データを元に筆者が計算

https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/2020.html

やはり一人暮らしの生活費は大変なお金がかかりますね。

ただし、これはあくまで平均です。内訳で大きな割合を占める下宿などの住居費用は設備や地域、環境にもよりピンキリで、生活費は住居費用で決まると言っても過言ではありません。特に都会では住居費用が高額になる傾向があります。決して金持ちばかりではないはずですので、重要なのはやりくりです。

では、こんなにかかる一人暮らしのために親はどれだけ仕送りし、子はどうやりくりできそうでしょうか?この記事では、次のシナリオの設定条件でシミュレーションしてみます。

シミュレーション
〜仕送り額と子のやりくりで親の将来の家計は?〜

シナリオの設定条件

  • 家族条件
家族条件歳(現在)生計から外れる
48100歳で死亡
45100歳で死亡
第1子1823歳で独立
第2子1523歳で独立
  • 比較条件
比較条件大学生の子の毎月収支
ケース1ケース2ケース3,4
仕送り20万円8万円8万円
アルバイト0万円0万円3万円
奨学金0万円0万円2万円
収入計20万円8万円13万円
下宿家賃12万円12万円7万円
他生活費全般8万円8万円6万円
支出計20万円20万円13万円
収入 – 支出0万円-12万円0万円

2人の子ともに同じ条件とする。

  • その他の詳細データはこちらを参照。

1. 仕送り20万円で親が破綻

ではまず、子の希望どおり毎月20万円の仕送りをした場合についてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?

1. 仕送り20万円で親が破綻
1. 仕送り20万円で親が破綻

なんと、子が大学生の時期にあたる50代で資金ショートしてしまい、さらに老後も破綻してしまいます。

だからと言って、親が自分たちの生活費の削減をしようとすることには慎重になりましょう。人生100年時代、親の人生もまだまだ長く、老後資金は甘く見れないからです。

2. 親の家計を維持できる仕送り限度額は?

では次に、親の将来の家計を維持できるように、仕送り額を調整してみます。ここでは仕送り額8万円としてみると、どうなるでしょうか?

2. 親の家計を維持できる仕送り限度額は?
2. 親の家計を維持できる仕送り限度額は?

おおっ、これなら親の家計を維持できそうですね。しかし、困るのは子の方です。このまま仕送りだけで生活しようと思うと、毎月12万円もの大赤字です。

3.アルバイトと奨学金で対処

仕送りで足りない分を賄うため、アルバイトと奨学金を検討してみます。ただし、次の注意を踏まえて限度を設けてみます。

  • アルバイトを毎月3万円まで
    学生の本業は学業です。アルバイトに明け暮れて学業がおろそかになっては元も子もありません。
  • 奨学金を毎月2万円相当まで
    貸与型の奨学金は、子自身が卒業後に返すことになる借金なのです。次の記事でも紹介したように、子の将来の家計に深刻な影響を与えないようにする必要があります。lifemoney-fp.com

これらの限度もあり、まだ毎月の支出20万円を賄いきれません。

4. 子の一人暮らしの生活費を調整

そこで今度は、子の生活費を調整することを考えます。

まず、何と言っても大きい住居費用ですが、都会ではワンルームマンションでも10万円はザラです。しかし、大学から離れたところから通う、設備が共同のものにする、などの不便を覚悟すれば、かなり削減は可能です。ここでは、下宿家賃を12万円→7万円に抑えてみます。

また、その他生活費についても、自炊で食費を抑える、嗜好品を削減するなどが考えられます。ここでは、8万円→6万円に削減してみます。

すると、20万円必要だと思っていた生活費13万円まで抑えることができ、ようやく収支のバランスを取ることができました。

まとめ

他の大学生の仕送り額が20万円と聞いて、「金持ちは羨ましい」「自分は足りない」と感じることもあるでしょう。また、親御さんも十分な仕送りができずにつらいこともあるでしょう。そんなときには、本記事で見てきたように、次の順で考えることをお勧めします。

  1. 親の将来の家計をシミュレーションし、仕送りの限度額を親子で理解する。
  2. アルバイトや奨学金で収入を得る。(ただし限度を設けて)
  3. 住居費用を中心に、生活費を見直す。

とはいえ、治安のため住居費が高額になる場合、仕送りが無い場合など、一人暮らしが大変困難なケースもあります。学生の本業は勉強であり、がむしゃらにアルバイトばかりになっては元も子もありません。親子それぞれの家計について、生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。

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