専門学校の学費を自分で払う?無償化の対象にも注目し意欲や成績を!
「何かいいバイトないかな?」◯百万円もかかる専門学校の学費!経済的に苦しい親には負担をかけられず、自分で払うとなると大変ですね。そこで発想を変えて、「支援を受ける」「借りる」という選択肢はどうなのでしょうか?
そういえば高等教育の無償化って聞くけど、専門学校も対象なのだろうか?でも成績優秀でもない自分なんか、当てにできないかな…。
奨学金を借りるとすれば、借金を背負うことになり、将来が心配だなぁ…。
などと、いずれもモヤモヤするかもしれませんね。
一体どうすれば専門学校の学費の問題を解決できるのでしょうか?
専門学校で学ぶ意欲はあるのにお金がなく、次の悩みがある人
・専門学校の学費を賄うには?
・奨学金を背負って社会人をマイナススタートしないためには?
・正規雇用で就職して安定的に稼ぐには?
専門学校の学費に困ったら?
まずは学生の本業である学業を最優先し、「高等教育の修学支援新制度」の活用をおすすめします。その理由は次のとおりです。
- 家庭が経済的に苦しくても、意欲があれば支援金の支給を受けられる可能性があるため。
- 学業に注力して専門知識やスキルを身につけることで、将来、正規雇用で就職し、経済的な安定を期待できるため。
「高等教育の修学支援新制度」の支援とは?
学ぶ意欲があれば「授業料・入学金の減免」や「給付型奨学金」の支給を受けられる可能性があります。大学や短大などだけでなく専門学校も対象です。まずは文部科学省の次のサイトをひと通りチェックしましょう。
「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」(文部科学省)
なお、次の引用のとおり学ぶ意欲があることが前提であり、支援の打ち切りなどに注意も必要です。
在学中、支援を受け続けるには、しっかりと授業へ出席し、勉学に励むことが求められます。
成績が悪かったり、授業にあまり出席しなかった場合には、支援を打ち切られたり、場合によっては返還などが必要になることもあるので、注意が必要です。
出典:「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」(文部科学省) (https://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/internet_torikumi/tyousa/r04/jittai-html/2_2_1.html)(2023年12月16日に利用)(太字・黄色マーカーは筆者)
同サイトには支援の打切りの基準も書かれていますのでよく確認しておきましょう。
バイトに明け暮れ学業がおろそかだと?
勉強に自信がないし、バイトの方が面白そうだから自分で稼ごうと考えるかもしれません。しかし、バイトに明け暮れて学業がおろそかになり、結局は専門学校を修了できない、資格を取れない、知識・スキルを身に着けられないといった状況になると、就職でも苦労することになりかねません。
もし非正規雇用での就職となれば、給与や賞与は正規雇用者と比べて格差があり、長期的な不利益は甚大なものになります。
「令和4年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)のデータをもとに作成した次の表(男女計、専門学校卒のデータを抜粋)によると、給与や賞与は正社員・正職員のほうが多く、50代くらいまでは年齢にともなう上昇の仕方が大きい傾向があることが分かります。また、企業規模によっても異なります。
年齢階級 | 正社員・正職員以外 | 正社員・正職員 | ||||
企業規模計(10人以上) | 企業規模計(1000人以上) | |||||
きまって支給する現金給与額(千円) | 年間賞与その他特別給与額(千円) | きまって支給する現金給与額(千円) | 年間賞与その他特別給与額(千円) | きまって支給する現金給与額(千円) | 年間賞与その他特別給与額(千円) | |
25~29歳 | 222.1 | 100.9 | 271.3 | 546.1 | 300.0 | 680.0 |
30~34歳 | 225.1 | 100.2 | 294.3 | 686.7 | 325.2 | 946.0 |
35~39歳 | 228.7 | 143.8 | 320.4 | 770.1 | 347.0 | 1075.2 |
40~44歳 | 237.5 | 139.6 | 343.5 | 901.7 | 389.0 | 1220.0 |
45~49歳 | 233.0 | 198.6 | 366.6 | 966.2 | 411.1 | 1329.6 |
50~54歳 | 243.3 | 151.7 | 382.3 | 1095.6 | 427.8 | 1457.7 |
55~59歳 | 240.1 | 154.7 | 385.1 | 1049.7 | 436.9 | 1502.5 |
60~64歳 | 266.7 | 391.0 | 328.4 | 732.4 | 356.7 | 1034.5 |
65~69歳 | 234.1 | 198.3 | 299.7 | 503.9 | 289.4 | 500.7 |
70歳~ | 210.3 | 122.9 | 287.6 | 385.9 | 276.5 | 622.9 |
(男女計、専門学校卒、民営事業所、産業計)
「令和4年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)のデータをもとに作成
※https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html
長期的な収入の観点からは、やはり学業に励み、正社員・正職員を目指すほうが有利ですね。では、どれくらい有利なのでしょうか?この記事では次のシナリオの設定条件で、将来の家計をシミュレーションしてみます。
シミュレーション
〜専門学校の学費と学ぶ意欲で将来どうなる?〜
シナリオの設定条件
- 将来の家族構成
将来の家族構成 | 夫との年齢差 |
夫(本人) | - |
将来の妻 | 夫より3歳年下 |
将来の第1子 | 夫31歳時に出生 |
本シミュレーションでは、将来結婚する前提で、独身期間はそれぞれが持つ金融資産を合算した額を表示します。
- 比較条件
将来夫となる本人の学生時代の過ごし方や就職、奨学金などの条件により、次の3つのケースに分けて将来の家計を比較します。
比較条件 | ケース1 | ケース2 | ケース3 |
学生時代の過ごし方 | バイトに明け暮れ | 学業に意欲 | 学業に意欲 |
就職後の雇用形態 | 非正規雇用 | 正規雇用 | 正規雇用 |
奨学金返済 | なし (バイトで賄ったため) | あり (1.5万円/月ずつ15年間で返済) | なし (制度を活用、最小限のバイトにより) |
可処分所得(20歳時点) | 205万円 (年収約255万円) | 362万円 (年収約288万円) | 362万円 (年収約288万円) |
可処分所得の変動率 | 0.5 | 1.7 | 1.7 |
なお、将来の妻の収入条件はいずれのケースでも同じとし、出産を機に一度退職後、時短勤務の期間を経て、いずれフルタイムに戻ることを想定します。
- その他の詳細データはこちらを参照。
1. バイトに明け暮れ、非正規雇用だと
ではまず、専門学校の学生時代にバイトに明け暮れ、学業がおろそかになり、非正規雇用として就職した場合についてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?
なんと、子どもができてからというものの、支出の増加と妻の収入減により、大赤字になりそうですね。こんなことでは子どもを持つことにも慎重にならざるを得ません。
2. 正規雇用でも奨学金返済があると
では次に、貸与型奨学金(将来返す必要がある)を借りて学業に注力し、正規雇用で就職した場合についてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?
正規雇用だけあってケース1.よりは随分マシですが、それでも子どもができてからの家計は心もとないですね。
3. 制度活用し学業優先、正規雇用だと
では最後に、学ぶ意欲があり、「高等教育の修学支援新制度」を活用して授業料・入学金の減免、給付型奨学金(将来返す必要がない)を受けた場合についてシミュレーションしてみます。このケースでは、バイトを最小限に抑え、学業を優先させた結果、正規雇用で就職できたものとします。この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?
おおっ、これなら将来の子育て費用も乗り越え、家計を維持できそうですね。「奨学金返済なし&正規雇用」は資産形成において圧倒的に有利です。
まとめ
専門学校で学ぶ意欲はあるのに学費に困っている場合、学業を最優先し、「高等教育の修学支援新制度」を活用することをおすすめします。学ぶ意欲あれば、授業料・入学金の減免や給付型奨学金を受けられる可能性があるからです。また、直近の学費の問題にとどまらず、正規雇用で就職できれば、長期的にもより多くの安定した給料というリターンを期待できます。
目の前のバイト探しに気が行きがちですが、学生の本業は勉強であり、最大の投資にもなり得るのです。
とはいえ、本当に家庭の経済状況が苦しく、当面の生活のためにもバイトをたくさん入れたり、貸与型の奨学金を借りるしかないこともあるでしょう。その場合でも、将来生活に困らないように資金計画において厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。