転勤族は定年まで賃貸?妻も仕事を辞めたくないが、夫の年収があればついていく?
「うちは転勤族だから、定年まで賃貸生活が続くのかな…。」そんな不安を抱えていませんか?家を買う夢を持ちつつも、頻繁な引っ越しにより、持ち家は無理だと諦めている方もいます。
大黒柱の夫の年収が平均以上で世間からは金持ちに見えても、専業主婦家庭では家計が思うように回らず、妻の勤労収入も欠かせません。特にキャリア志向の妻にとっては、仕事を辞めたくないという思いが強いことでしょう。
転勤族の家庭では、共働きの理想に対して、単身赴任を定年まで続けるのか、マイホームを購入するかどうかで悩んでいます。
いずれにしても現実が転勤族である場合、住居とキャリアを両立し、家計の面で安定した生活を送るためにはどうすればよいのでしょうか?この記事を読み進めて、解決策を見つけましょう。
・持ち家にあこがれている
・妻は仕事を辞めたくない
・家計の面で一生安心して暮らしたい
転勤族でも夢をかなえる3つのポイント
転勤もいろいろですが、自宅から通える圏内での転勤や、数年のみの短期間の赴任であれば、現役中に家を買うという選択肢もありでしょう。
しかし、長期&遠方への転勤の可能性がある場合に、持ち家&キャリアの夢をかなえ、家計を維持するのは簡単ではありません。そのような場合に検討をお勧めする3つのポイントをご紹介します。
- 現役の間は賃貸
賃貸ならば、今後転勤があっても柔軟に引っ越せます。また、単身赴任のための追加費用(夫の一人暮らしの賃貸料金、往復旅費)も不要です。 - 定年後は持ち家
人生100年時代に定年後もずっと家賃がかかり続けるのは、家計にとって大きな負担になります。定年後だからこそ、学区や勤務地に制限されず、子ども部屋も不要であり、夫婦だけのニーズを満たせれば十分です。そのため、リーズナブルなマイホームを選ぶことができます。 - 在宅勤務できる仕事
妻の継続的な勤労収入は家計に大きなプラスになるため、引っ越しても続けられる仕事は大きなメリットとなります。
「令和モデル」への切り替えを
「令和5年版 男女共同参画白書」(令和5年6月 内閣府男女共同参画局)によると、新たな生活様式・働き方を全ての人の活躍につなげるために、「令和モデル」への切り替えが提言されています。
(…略…)
・ 今こそ、固定的性別役割分担を前提とした長時間労働等の慣行を見直し、「男性は仕事」「女性は家庭」の「昭和モデル」から、全ての人が希望に応じて、家庭でも仕事でも活躍できる社会、「令和モデル」に切り替える時である。
(…略…)
・女性は、年齢階級が高い方が「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」と考える傾向がある。また、同じ世代でも、年齢が上がるにつれて、そのように考える傾向が強くなる。
(…略…)
出典:「令和5年版 男女共同参画白書」(令和5年6月 内閣府男女共同参画局)(https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r05/gaiyou/pdf/r05_gaiyou.pdf)(2024年2月11日に利用)(太字・黄色マーカーは筆者)
とはいえ、転勤族にとって、「令和モデル」を実現することは容易なことではありません。職業と住居、仕事と家庭、夫婦の分担など、究極の選択になりがちなためです。また、家計の観点からも、収入と支出のバランスをとることは大変重要になります。
では、転勤族ではこれらの選択により、将来の家計にどのように影響するのでしょうか?この記事では、次のシナリオの設定条件でシミュレーションしてみます。
シミュレーション
〜職業と住居の選択により、転勤族の将来家計は?〜
シナリオの設定条件
- 家族条件
家族条件 | 歳(現在) | 生計から外れる |
夫 | 30 | 100歳で死亡 |
妻 | 27 | 100歳で死亡 |
第1子 | 0 | 23歳で独立 |
第2子 | 3年後に誕生 | 23歳で独立 |
- 比較条件
比較条件 | ケース1 | ケース2 | ケース3 |
家族の住居 | 現役で持ち家 | 一生賃貸 | 定年まで賃貸、 定年後に持ち家 |
夫婦の就労形態 | 共働き | 専業主婦 | 共働き (妻は在宅勤務) |
夫の同居状況 | 単身赴任(夫40-55歳) | 同居 | 同居 |
- その他の詳細データはこちらを参照。
1. 現役で持ち家&単身赴任
ではまず、夫36歳時点で夢のマイホームを購入したケースについて、シミュレーションしてみます。もともと転勤族とはいえ、県内や隣県での異動ばかりだったため、今後も何とか通えなくはないと考えたのです。
しかーし!40歳でまさかの遠方への転勤となり、55歳まで単身赴任することに。その間、夫の賃貸や家族の住むマイホームとの往復(月2回)のための費用がかさみ続けることになってしまったのです。この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?
なんと、このままでは教育費のピークを迎える50代に資金ショート!夫60歳で退職金で一時プラスに復活したのもつかの間、老後にまた資金ショートしてしまいます。夫婦共働きとはいえ、持ち家の住宅ローンを返しながら、さらに夫の賃貸や旅費まで賄うのは難しかったですね。あらかじめ遠方への転勤も想定し、算段を立てておくべきでした。
2. 一生賃貸&専業主婦
では次に、一生賃貸で暮らした場合について、シミュレーションしてみます。このケースでは、妻は仕事ができないものとしてあきらめ、夫についていくものとします。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?
あっという間に家計は火だるまになってしまいました。たとえ住居はリーズナブルな賃貸であっても、妻の勤労収入がないというのは大きな痛手です。かといって、妻が仕事を始めても、ようやく慣れた頃には夫の次の転勤!そのたびに妻が転職するのもきついですね。生活費、教育費、老後資金など、大きな支出を抜本的に見直す必要があります。
3. 妻の在宅勤務&夫定年後に持ち家
では最後に、夫が現役時代は賃貸、定年後にマイホームの夢を実現したケースについて、シミュレーションしてみます。この場合、妻は在宅勤務できるタイプの仕事に就き、夫の転勤について行っても場所を選ばずに仕事ができるものとします。しかも、老後のマイホームは、学区や勤務地の制限もなく、子ども部屋も不要であり、夫婦だけのニーズを満たせれば十分なため、リーズナブルに選ぶことができます。この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?
おおっ、これなら一生安心して暮らしていけそうですね。「妻の勤労収入(老後の厚生年金も)があること」「住宅の条件を絞れること」「在宅勤務という新しい働き方」のおかげで、転勤族でも「令和モデル」を実現できたのです。
まとめ
夫が転勤族の場合、持ち家も妻の仕事もあきらめるか…と悲観的になってしまうかもしれません。しかし、「いつかは持ち家を手に入れたい!」「妻も仕事を辞めたくない!」という強い気持ちがあるならば、次の3つのポイントで夢を実現することをお勧めします。
- 現役の間は賃貸
- 定年後は持ち家
- 在宅勤務できる仕事
これにより、現役中は住居の柔軟性を確保しつつも共働きを続けられ、定年後のマイホームもリーズナブルに。その結果、家計の面でも一生安心して暮らしていければ、転勤族でも見事に「令和モデル」の実現ですね。
とはいえ、「今すぐ子どもと一緒にマイホームで暮らしたい!」「マイホーム購入後に想定外の遠方への転勤が決まってしまった!」というようなケースもあり得ます。その場合、教育資金や老後資金が枯渇してから慌てないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。