高齢者の退院後に自宅療養は不安・・・。施設入所なら種類と費用は?

高齢者の退院後に自宅療養は不安・・・。施設入所なら種類と費用は?

「来週には退院していただきます!」「えっ、ちょっと待ってくださいよ!このまま自宅に戻っても・・・」

長期入院中は手厚い看護を受けてきたが、退院日が迫り焦っている。自宅療養になったら自分で何でもやらなければいけない。食事や買い物など日常生活に必要なことや、たんの吸引や胃ろうなどの医療面のケアも長期で必要になるのか・・・。やっぱり無理だ!

ということで、医療付きの有料老人ホームを調べた。しかしその費用にびっくり仰天!とても手が届きそうにない・・・。長期で入所できるリーズナブルな施設は無いものでしょうか?

この記事はこんな人におすすめ
・退院後の自宅療養が不安な人。
・有料老人ホームの費用に困惑している人。

退院後の自宅療養が不安なら?

まずは条件に合った公的施設を探すことをお勧めします。個人が支払う費用の負担が民間の有料老人ホームと比べて少ない傾向があるためです。

条件に合う公的施設は?

主な公的施設には次のようなものがあり、入所条件は種類や施設にもより様々です。

公的施設の種類要介護度滞在期間特徴
介護老人保健施設(老健)1以上数ヶ月在宅に向けてリハビリ
介護医療院※1以上終身長期療養・生活施設として、医療と介護を提供
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)3以上終身待機者が多い
※参考:厚生労働省ホームページ「介護医療院とは?」
https://www.mhlw.go.jp/kaigoiryouin/about/

例えば、退院後の当面の数カ月間を介護老人保健施設(老健)でリハビリしたり、逆に長期に渡って介護医療院で療養したりなど、目的に合わせて選択すると良いでしょう。
ただし、詳細な入所条件については個々の施設により異なりますので確認してください。

退院後の行き先の現状は?

みなさんは退院後の行き先をどうしているのでしょうか?「令和2年(2020)患者調査」(厚生労働省)を加工して作成した次の表によると、8割以上は家庭、それ以外が他の病院や施設となっています。患者さんの状態や家庭の状況にもよりますが、退院後でも意外と多くの方が家庭に戻られているのですね。

退院後の行き先割合
家庭82.4%
他の病院・診療所6.8%
介護医療院0.1%
介護老人保健施設1.5%
介護老人福祉施設1.6%
社会福祉施設1.7%
その他5.9%
「令和2年(2020)患者調査」(厚生労働省)(※)を加工して作成

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/index.html

一方、退院後の行き先となる施設の中でも「介護医療院」は0.1%と大変少ないですが、従来の介護療養型医療施設から移行が進められており、実際に次の表からも介護医療院の数は増加していることが分かります。

介護保険施設令和3年
(2021)
令和2年
(2020)
対前年
増減数増減率(%)
介護老人福祉施設841483061081.3
介護老人保健施設42794304△25△0.6
介護医療院6175368115.1
介護療養型医療施設421556△135△24.3
「令和3年介護サービス施設・事業所調査」(厚生労働省)(※)を加工して作成

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service21/index.html

長期で療養が必要な患者さんにとっては、今後も介護医療院の増加・充実を期待したいところですね。

では、退院後の行き先により、将来の家計はどうなるのでしょうか?この記事では、次のシナリオの設定条件でシミュレーションしてみます。

シミュレーション
〜退院後の行き先により将来の家計は?〜

シナリオの設定条件

  • 家族条件
家族条件歳(現在)生計から外れる
7090歳で死亡
6790歳で死亡
  • 介護期間
    夫妻それぞれ10年間(81歳以降で介護を受け、90歳で亡くなる)とします。
  • 比較条件
    次の3つのケースを想定して将来の家計を比較してみます。
比較条件ケース1ケース2ケース3
退院後の行き先家庭(自宅療養)有料老人ホーム介護医療院
介護・施設費用
8万円/月
(在宅介護にかかる費用)

23万円/月
(食費、生活費含む)

15万円/月
(食費、生活費含む)
上記に含まれない生活費※
夫81歳-83歳
妻78歳-80歳
14万円/月9万円/月9万円/月
夫84歳-90歳
妻81歳-87歳
11万円/月3万円/月3万円/月
妻88歳-90歳6万円/月2万円/月2万円/月
※夫妻それぞれ81歳以降で介護を受け、90歳で亡くなる。
  • その他の詳細データはこちらを参照

1. 自宅療養

ではまず、自宅療養を選んだ場合についてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?

1. 自宅療養・在宅介護
1. 自宅療養・在宅介護

経済的には問題ありませんね。

しかし、夫婦ともに療養が必要な状況で、自宅で自立して生活するのは厳しい状況です。また、独立している子どもたちにも仕事や家庭の都合があり日常的な介護は望めず、仮に特定の家族が無理をしたとしても負担が偏り家庭内不和にもつながりかねません。このような状況で自宅療養は厳しいですね。

2. 有料老人ホーム

では次に、民間の有料老人ホームに入所する場合についてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?

2. 有料老人ホーム
2. 有料老人ホーム

夫婦それぞれ80代以降に入所してからというもの、貯金をどんどん取り崩し、あっという間に資金ショートしてしまいました。余命がわずか数年という見込みでもない限り、現実的な選択肢ではありませんね。

3. 介護医療院

では最後に、介護医療院に入所した場合についてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?

3. 介護医療院
3. 介護医療院

さすが公的な施設だけあり、費用負担を随分と抑えることができたので、終身で入所しても何とか家計を維持できそうです。子どもたちは頻繁に面会に来てくれるし、家庭円満でいられれば何よりですね。

まとめ

退院後の自宅療養が不安な場合、まずは公的施設を探すことをお勧めします。特に退院後に医療ケアが長期的に必要な場合、介護医療院も検討してはいかがでしようか?

高額な有料老人ホームの費用を払えるならそれでも問題ありませんが、今後何年も長期で過ごす可能性がある場合は、シミュレーションにより将来の家計を維持できそうか確認しておくことが重要です。

なお、公的施設でも入所条件は様々ですので、満たせるかどうかは個々の施設の情報も確認しましょう。

とはいえ、個人の価値観や諸事情により、どうしても民間の有料老人ホームに入所せざるを得ないケースもあります。その場合、資金ショートしてから慌てないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。有料老人ホームにも条件や価格帯に幅がありますし、生活費、公的な補助、節税、保険、家族の支援など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。

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