介護離職で後悔!親のために自分の家計が火だるまに?

介護離職で後悔!親のために自分の家計が火だるまに?

「今、大丈夫かな・・・?」そろそろ介護が必要になる親が遠方で暮らしていると、いつも心配が尽きませんよね。「自分が地元に残っていれば面倒を見れたのに、若気の至りで都会に出てきてしまったばかりに・・・。」などと自責の念に駆られるかもしれません。

そんな思いもあり、介護のため仕事を休んで実家との往復が続いたらどうでしょうか?自分の体力もさることながら、給料が下がって自分の生活費に困ったり、帰省のための交通費も馬鹿にならないなど、様々な影響が出るでしょう。こんなことなら、もっと親の近くで楽な仕事を見つけて、介護しよう!と思うかもしれませんね。
しかし、自分には自分の世帯の家計もあります。特に家計の大黒柱が介護離職などして、自分の家計は大丈夫なのでしょうか?

この記事で分かること
・介護離職した場合の家計への影響。
・親自身が介護費用を準備しておくことの重要性。

この記事では将来の金融資産残高の推移をシミュレーションすることで、これを検証します。

そうすることで、金融資産残高をプラスに維持できるように介護の方法を決められます。



介護離職すると後悔する?

家計の面からは後悔する可能性大です。特に、一家の大黒柱が介護離職する場合は、自分の家計が火だるまになるおそれがあります。

そのため、介護離職には慎重になりましょう。親の介護費用は親自身の資産から出すことを大前提に、適切なサービスや施設も上手に利用することをお勧めします。

介護離職の現状は?

核家族化が進む中、どのくらいの方が介護離職をしているのでしょうか?

「平成29年就業構造基本調査」(総務省統計局) のデータを加工して作成した次の表によると、男性が約2万4千人、女性が約7万5千人と、男女でかなりの差があることが分かります。

介護・看護のために過去1年間に前職を離職した者 (千人)
24.0 75.1
「平成29年就業構造基本調査」(総務省統計局) (※)のデータを加工して作成

https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/pdf/kgaiyou.pdf

一方、介護をしながら働いている人に着目すると、次の表より、男性の正規社の職員・従業員では「月に3日以内」が32.5%と最も多く非正規の職員・従業員や女性では「週に6日以上」が最も多いことが分かります。

[介護日数別] 介護をしている雇用者数及び割合(%)
介護日数
正規 非正規 正規 非正規
月3日以内 32.5 22.9 25.1 20.7
週に1日 22.6 15.1 19.0 17.3
週に2日 11.7 12.7 11.2 12.9
週に3日 5.0 7.8 6.3 7.7
週に4〜5日 5.0 7.5 5.7 6.7
週に6日以上 20.3 29.8 30.7 32.9
100.0 100.0 100.0 100.0
「平成29年就業構造基本調査」(総務省統計局) (※)のデータを加工して作成

https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/pdf/kgaiyou.pdf

男性の介護離職が相対的に少なく、また、働きながら介護する日数も少ない現状からすると、やはり、家計の大黒柱として、今のハードな働き方を変えられないケースが多いのではないでしょうか?特に、親世代の介護が必要になる40代〜50代の方は、仕事の立場上も重責を担っていることもあり、本気で親の介護をしたいと思っている方には、なかなかつらい状況ですね。

ところで、本当に介護離職するわけにはいかないのでしょうか?次のシナリオの設定条件をもとに、将来の家計をシミュレーションしてみます。

シミュレーション
〜介護離職による家計への影響は?〜

シナリオの設定条件

  • 家族条件
家族条件 歳(現在) 生計から外れる
30 100歳で死亡
27 100歳で死亡
第1子 0 23歳で独立
第2子 3年後に誕生 23歳で独立
  • 主な稼ぎ手は夫。
  • ケース1では夫が、ケース2では妻が、それぞれ46歳〜60歳の15年間にわたり自分の親を介護するため、働き方を変更する。(15年と期間が長いのは、遠方ということもあり、親がある程度自立しているうちから面倒を見始めることを想定するため。)
  • 夫婦の収入の詳細は以下のケースごとの表を参照。
  • その他の詳細データはこちらを参照

1. 大黒柱の夫が介護離職、非正規に転職

ではまず、夫が自分の親の介護のため、当初は仕事を休みがちになり、いずれ介護離職することを想定し、次の条件でシミュレーションしてみます。

収入条件 万円/年 年齢 変動率(%)
給与 490 夫30-45歳
※正規でバリバリ仕事
1
   400 夫46-50歳
※休みがちで減
1
  200 夫51-60歳
※非正規に転職で減
0
  100 夫61-65歳 0
  200 妻27-60歳 1
  100 妻61-65歳 1
退職金 1500 夫50歳
※早期の自主退職で減
0
年金 180 夫65歳-終身
※厚生年金、企業年金がともに減
1
  72 妻65歳-終身 1

この場合、自分の世帯の家計はどうなるでしょうか?

1. 夫が介護離職、非正規に転職

これから教育費のピークを迎えるところで非正規の仕事に転職し、給料が減るだけでなく、さらにその後の退職金や年金まで減ってしまい、あっという間に将来の家計は破綻してしまいますね。やはり大黒柱が介護離職するというのは、あまりにも無謀なことでした。

2. 妻が介護離職

では次に、元々非正規で働いていた妻が、自分の親の介護のため、徐々に仕事量を減らすように調整することを想定し、次の条件でシミュレーションしてみます。

収入条件 万円/年 年齢 変動率(%)
給与 490 夫30-60歳 1
  245 夫61-65歳 1
  200 妻27-60歳
※もともと非正規
1
  150 妻46-50歳
※非正規の仕事量を調節
0
  100 妻51-60歳
※非正規の仕事量を調節
0
  100 妻61-65歳 1
退職金 2000 夫60歳 0
年金 216 夫65歳-終身 1
  72 妻65歳-終身 1

この場合、自分の世帯の家計はどうなるでしょうか?

2. 妻が介護離職

大黒柱が介護離職するケース1と比べれば、まだ影響は限られますが、それでも将来の家計はマイナスに陥ってしまいますね。妻の収入も減っては困ってしまいます。

3. 親自身の資金で施設入居

では最後に、「親の介護費用は親自身の資産から出す!」ことを大前提に、親が介護サービスや施設を早期から利用し、自分たちは働き方を変える必要がないことを想定します。

収入条件 万円/年 年齢 変動率(%)
給与 490 夫30-60歳
※正規で定年まで働く
1
  245 夫61-65歳 1
  200 妻27-60歳
※非正規だが収入維持
1
  100 妻61-65歳 1
退職金 2000 夫60歳 0
年金 216 夫65歳-終身 1
  72 妻65歳-終身 1

この場合、自分の世帯の家計はどうなるでしょうか?

3. 親自身の資金で施設入居

自分たちの家計への影響がないので、自分の家計やりくりに問題なければ、一生安心して暮らしていけそうですね。

まとめ

現役でバリバリ働いている40代〜50代。仕事の立場上も責任が重く、遠方の親を日常的に介護することは現実的ではないでしょう。かといって、思い切って介護離職をしてしまうと、今度は自分の世帯の家計が火だるまになりかねません。

やはり、「親の介護費用は親自身の資産から出す!」ことを大前提に、親が必要な介護費用をあらかじめ用意しておくことが重要になります。

とはいえ、親が用意できているケースばかりではありませんし、個人の価値観や諸事情により、どうしても働きながら介護をせざるを得ないケースもあります。

仕事の内容や会社の制度にもよりますが、実家でリモートワークをしながら親をサポートしたり、介護休業の制度を活用するなどして、介護離職以外の方法で対処できないか検討してみることをお勧めします。また、そのような対応が難しい場合にも、生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスをもらえることでしょう。

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