住宅ローン返済がきつい50代!教育費ピークをどう乗り越える?

住宅ローン返済がきつい50代!教育費ピークをどう乗り越える?

「ひえーっ!教育費がこんなにかかって家計が苦しい・・・。このままでは住宅ローンの返済に困ってしまう・・・。月々10万もさすがにきつい!」

50代で子育ても終盤戦に突入し、こんな状況に陥っていないでしょうか?

高校以降は私立もやむを得ないと考えていても、実際に進学させてみると急に出費が増えて、その負担の大きさを痛感。それなりに貯めているつもりだった貯金が急減してくると、焦るかもしれませんね。私立高校も実質無償化されたといいますが、その恩恵を十分に受けるには世帯年収の条件を微妙に満たせずガックリ・・・というご家庭もあるでしょう。考えたくないですが、このまま私立大学に進学することになれば、もっと大変なことに・・・。

そうなると、いよいよ苦しくなるのは住宅ローンの返済ですね。もし返済が滞り続けるとマイホームは競売にかけられ、安く売り飛ばされた上に、追い出されてしまう!そんなことになる前に、納得できる価格で売却してしまうのが良いのでしょうか?
でも、下の子もまだいるし、これからが一番子どもの部屋が欲しい時!それなのに、小さいアパートで親と共有部屋というのはちょっと・・・。
さて、こんな状況で教育費のピークをどう乗り越えればよいのでしょうか?

この記事はこんな人にお勧め
・子どもの教育費ピークを迎え、住宅ローン返済がきつい人。
・この状況をどう乗り越えるか悩んでいる人。
・長期的な家計の観点でどうするのが有利なのか検討している人。







教育費ピークで住宅ローンの返済がきついなら?

まずは住宅ローンを借りている金融機関に、借入期間を延長(リスケ)できないか相談することをお勧めします。

なぜ金融機関にリスケの相談?

  • リスケにより月々の返済額が減れば、教育費のピークを乗り越え、その後も同じ家に住み続けられる可能性があるため。
  • リバースモゲージや任意売却により、マイホームを売却して一時的に大きな収入を得る方法があるが、その後の家賃の負担に耐えられない可能性があるため。

教育費の月々の負担はどう変化?

私立の高校や大学に通わせるのに◯百万円!などという情報を目にしても、大きな金額であることは間違いないのですが、いまいちピンとこないかもしれません。負担の大きさを実感しやすいように、月々の負担に直してみると、どうなるのでしょうか?

ここでは、基礎データとして関連記事でもご紹介した統計データを元に、月々の学習費を試算してみましょう。例えば、次の想定進路の場合はこうなります。

想定進路学習費 (万円/月)
私立幼稚園2.6
公立小学校2.9
公立中学校4.5
私立高校(全日制)8.8
私立大学(理系、自宅)17.1

この想定進路では、私立高校、私立大学と進学するにつれて学習費はうなぎのぼり。収入があまり変わらない一方で、こんなに急に毎月の出費が増えては、住宅ローンの返済との両立が苦しくなるのも無理もありませんね。だからこそ、教育費のピークに向けて事前に準備しておくことが重要なのです。

とはいえ、準備が不十分な状況で教育費のピークに突入しそうな場合、何らかの対策を打たなければなりません。実際にどのような対策方法を取ることで、将来の家計がどのように変わってくるのでしょうか?

この記事では次のシナリオの設定条件でシミュレーションしてみます。






シミュレーション
〜住宅関連費用の対策により将来の家計は?〜

シナリオの設定条件

  • 家族条件
家族条件歳(現在)生計から外れる
30100歳で死亡
27100歳で死亡
第1子023歳で独立
第2子3年後に誕生23歳で独立
  • 教育費
    2人の子が共に、私立幼稚園→公立小→公立中→私立高→私立大(理系、自宅)を想定します。(金額は前項の学習費の表と同じものとする。)
  • 住宅関連費用
    次の4つのケースを想定します。
金額の単位は(万円)
比較項目対策前対策1対策2対策3
対策なしリースバック任意売却リスケ&切り詰め
売却(夫45歳)により得た収入(売却せず住み続け)2100
(売却額)
3000
(売却額)
(売却せず住み続け)
賃貸の年間賃料(夫46-56歳)-210(売却した家を賃貸)132(アパートを賃貸)-
賃貸の年間賃料(夫57-93歳)-84(アパート賃貸)84(アパート賃貸)-
住宅ローン年間返済額156
(夫36-59歳)
156
(夫36-44歳)
156
(夫36-44歳)
156
(夫36-45歳)
108
(夫46-67歳)
住宅ローン
最終年(一括返済)
81
(夫60歳)
2105
(夫45歳)
2105
(夫45歳)
66
(夫68歳)
※賃料は夫30歳時点の物価水準で表示。
※ケース1とケース4では、夫45歳以降もマイホームの固定資産税・都市計画税・その他維持費用(計48万円/年)がかかり続けるものとする。
  • その他の詳細データはこちらを参照

対策前:このままでは破綻

ではまず、教育費のピークに向けて何も対策を打たなかった場合についてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

対策前:このままでは破綻

おかしいなぁ。夫40代前半までは2000万円近くの金融資産があったのに・・・。

子どもが私立高校に通い始めた夫40代後半以降、一気に金融資産が減っていき、教育費のピークとなる50代で、なんと資金ショートしてしまいました。住宅ローンの滞納が続き、まさかの競売という事態だけは避けたいですね。

そうならないためには、何らかの対策を打たなければなりません。

対策1:リースバックで住み続ける?

住宅ローン返済は厳しいが、今のマイホームに住み続け、子どもたちの部屋を確保したい!そんな思いから、リースバック(マイホームを売却し、それを自ら賃貸)をしたケースについてシミュレーションしてみます。

リースバックの場合、売却額は市場価格より多少低くなります。(このシナリオでは7割程度と想定。)また、売却により得た一時的な収入のおかげで住宅ローンの残債をなんとか一括返済できたとしても、その後は「元」マイホームを賃貸するため、高い家賃が続くことにも注意が必要です。このシナリオでは、さすがに子ども独立後(夫57歳時点)で夫婦で安い賃貸に引っ越すものとします。

この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

対策1:リースバックで住み続ける?

なんと、リースバックの家賃が高く、教育費のピークを乗り切ることもできませんでした。しかも、子ども独立後は安い賃貸に引っ越しても、家賃の支払いが長年続くと老後はとても持ちません。このシナリオではリースバックというのは甘い考えでした。

対策2:任意売却で教育費ピークをしのぐも

では次に、大切なマイホームを泣く泣く任意売却するケースについてシミュレーションしてみます。住宅ローンの滞納により、マイホームが不本意な安値で競売にかけられてしまう前に、金融機関に相談して抵当権を抹消してもらい、なるべく市場価格に近い価格で売るのです。

売却後もせめて子どもが独立するまでは子ども部屋が欲しいと11万円/月の賃貸アパートに暮らし、子ども独立後は夫婦だけで7万円/月の賃貸アパートに引っ越します。

そこまですれば、将来の家計は何とかなるのでしょうか?

対策2:任意売却で教育費ピークをしのぐも

おっ、確かに教育費のピークは乗り越えることができました。

しかし、その後ずっと賃貸で過ごすとなると、長期的な家賃の負担は馬鹿にならず、老後に資金ショートしてしまいますね。もっともっと安い賃貸に住み替えるか、安い持ち家を購入するなど、何らかの住居費用対策が必要になります。

対策3:リスケ&切り詰めで安心

では最後に、金融機関に相談してリスケ(借入期間の延長)をしてもらったケースについて、シミュレーションしてみます。金融機関に交渉するにあたり、生活費もそれなりに切り詰める姿勢を見せる必要があり、他のケースより年間生活費を12万円ほど切り詰めるものとします。

リスケにより住宅ローンの月々の返済額が13万円→9万円と減るのは良いのですが、ローン完済年齢は60歳→68歳と延び、しかも金利の支払い総額は180万円近く増えてしまいます。そんなことでは老後が不安になるかもしれませんが、この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?

対策3:リスケ&切り詰めで安心

おおっ、教育費のピークも何とか乗り越えることができただけでなく、老後も何とかなりそうです。住宅ローンを老後に持ち越したのに、少し意外な結果かもしれませんね。

もちろん生活を切り詰めたこともありますが、やはり大きいのは家賃を払い続けなくてよいという点です。マイホームの維持費用がかかり続けたとしても、対策1や対策2のケースのように一生賃貸で暮らすよりは随分と経済的に有利でしたね。

まとめ

住宅ローンの返済に困った場合、まずは金融機関に借入期間を延長(リスケ)できないか相談することをお勧めします。当然、贅沢費を削るなどの切り詰め努力は求められますが、もしリスケできて同じマイホームに住み続けることができれば、長期的に家賃がかからずに済み、家計の負担をかなり軽減できます。今回のシナリオでは、子どもの部屋を確保しつつ教育費のピークを乗り越え、さらに長期的に見ても老後まで家計を維持できましたね。

一方、リバースモゲージや任意売却では、マイホームの売却により一時的に大きな収入を得ることができますが、それで十分なのかどうかは別です。まずは教育費のピークを乗り越えられるのか、また、長期で住居の確保し続けることができるのかを見積もり、慎重な判断が求められます。

とはいえ、どうしても金融機関にリスケに応じてもらえず、マイホームを手放さざるを得ないこともあるでしょう。その場合、教育費のピークの時期や老後になってから慌てないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。







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