賃貸の修繕費はどこまで払わなくていい?退去時の原状回復義務は特約にも注意!

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賃貸の修繕費はどこまで払わなくていい?退去時の原状回復義務は特約にも注意!

「退去時のハウスクリーニング代は入居者負担です!」と言われ、「それって本当に払う必要あるの?」と思った方もいるのではないでしょうか?

実は、国土交通省が定める原状回復のガイドラインでは、修繕費用は貸主負担となるケースも多いのですが、賃貸借契約書の特約によっては借主(入居者)負担にされていることがあります。よく理解せずに契約してしまうと、退去時に想定外の高額請求を受けることもあり得ます。

この記事ではどこまで払わなくていいのかの考え方とともに、契約時の注意点と家計を守る対策をわかりやすく解説します。

この記事で分かること
・修繕費をどこまで払わなくていいか
・原状回復義務の正しい理解
・特約確認で家計を守る方法

借主(入居者)の負担範囲の考え方

国土交通省ガイドライン上の貸主・借主の負担範囲

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の原則では、入居者の負担は次の(2)に限られています。つまり、(1)の経年劣化や通常の生活で生じた汚れなどは借主が修繕費を払わなくていいのが原則です。

この原則的な区別を理解しておかないと、払う必要のない修繕費まで支払ってしまうおそれがあります。

参考:「「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

借主負担の原状回復とは?

同ガイドラインで借主負担とされている「原状回復」とは、前述の(1)ではなく(2)を復旧することを指します。

例えば、次のようなものが、故意・過失等による損傷として借主負担となります。

  • 引っ越し時に家具をぶつけてできた損傷
  • クロスへの落書き
  • 結露の放置によるカビ
  • タバコのヤニ・臭い
  • ペットによる傷

経年劣化と通常使用による汚れ・傷は貸主負担が原則

例えば次のような事象が通常の使用による損耗や経年劣化と判断されれば借主の負担にならないのが原則です。

  • 家具の設置による床のへこみ
  • 日照などによるクロスの変色
  • 壁の画鋲やピンの跡(下地ボード張替え不要な程度)

この考え方を理解しておくことで、退去時の交渉でも根拠をもって主張しやすくなります。

経過年数の考慮で一部負担のみ?

故意・過失等による損耗等であっても、賃借人が全額負担するとは限りません。建物や設備は年月によって価値が減少すると考えられるからです。つまり、経過年数が長い分だけ、賃借人の負担割合も減少するという考え方になります。

例えば、クロスの耐用年数は6年となっており、6年で残存価値1円となるように負担割合を計算するなどです。

詳細は次の参考資料にわかりやすくまとめられています。
参考:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に関する参考資料(令和5年3月 国土交通省住宅局参事官)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001611293.pdf

特約に注意!修繕費トラブル回避のコツ

賃貸借契約書で確認すべき特約

賃貸借契約書には、退去時のクリーニング費用は借主負担などの特約が記載されていることがあります。

例えば、「ハウスクリーニング費は一律○円」などと明確に金額が示されている場合があります。

この特約があると、ガイドラインの原則よりも契約内容が優先されるため注意が必要です。

有効とは限らない特約も

賃借人に不利な特約の有効性については、契約内容や物件の使用の状況等に応じて、個別に判断されますが、次に記載の要件が参考になります。

① 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

出典:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月 国土交通省住宅局 )
https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf、2025年11月2日アクセス、太字・黄色マーカーは筆者)

なお、①に該当する例としては、家賃を相場より安く設定する代わり、などが考えられます。

契約時のチェックポイント

重要事項説明や賃貸借契約書で、ガイドラインと異なりどのような負担があるのか理解して契約を結ぶことをお勧めします。これらが曖昧なまま契約すると、後からトラブルになりかねないからです。

チェックポイント

  • どのような特約があるか
  • 退去時の清掃・修繕の負担範囲はどこまでか

退去費用は契約書の一文で決まることもあるため、契約書の事前確認が大きな節約策になります。

修繕費トラブルによる家計圧迫対策

退去時に高額な修繕費が将来の住居費・生活費に影響を及ば差ないように、次の点に注意しましょう。

  • 退去時に10万円単位の修繕費を請求されると、引越し費用や生活費を圧迫します。また、敷金の範囲内で精算できるとは限りません。
    そのため、退去時に備えて、家賃1か月分程度を「修繕・引越し予備費」として確保しておくことをお勧めします。
  • 周辺相場に比べて家賃が安く、一見オトクに見える物件でも、退去時のクリーニング費用などの特約も確認し、総合的にオトクかどうか判断しましょう。
  • 入居時にはチェックリストで物件の状態を確認し、賃貸人と認識を共有しておくことをお勧めします。また、元々傷ついていた箇所の写真などの証拠も残しておくとよいでしょう。

これらのことが、退去時の家計が圧迫されるリスクへの備えとなります。

まとめ

退去時の修繕費や原状回復費用は、入居者にとって見落としがちな出費の一つです。国土交通省のガイドラインでは、経年劣化や通常使用による汚れ・損耗は原則として貸主負担とされていますが、賃貸借契約書に特約がある場合、その内容が優先されることもあります。

本来払わなくていいはずの費用を支払ったり、特約の見落としにより、想定外の費用が発生することを避けるため、契約時にはハウスクリーニング費や修繕費の記載内容を確認し、必要に応じて宅地建物取引士(宅建士)に説明を求めましょう。

また、退去時の高額請求が家計を圧迫しないよう、家賃1か月分程度を「修繕・退去準備費」として積み立てておくのも有効です。

原状回復のガイドラインと契約内容の理解があれば、トラブルを未然に防ぎ、将来のマネープランにも安心感をもたらします。賃貸契約は生活の基盤である住居と将来の家計を左右することもあるため、長期的な視点で確認・判断することが大切です。

とはいえ、個人の価値観や諸事情により、どうしても「住み慣れた環境を優先したい」「立地や利便性を重視したい」といった判断をせざるを得ないケースもあります。その場合、退去や更新のタイミングで予想外の支出になってから慌てないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。

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