若くても老後資金?適切な危機感で短期目標から達成を!

若くても老後資金?適切な危機感で短期目標から達成を!

「せっかくできた老後のゆとり時間で、自分のために趣味や旅行も楽しみたかったのに!」「それどころか生活を切り詰め、まだハードに働き続けなければ・・・。」
そんな老後の自分の声を聞きたくないですよね。

思い返すと、40代くらいまでは貯金も余裕だったのに、50代の教育費のピークでどんどん崩していき・・・。それでも今は70歳まで雇ってもらえる時代だから、老後は何とかなるだろうと楽観的に考え、60歳までは危機感もなかった。とすると・・・?
そうです!後になってから気づいても遅いのです。適切な危機感を若いうちから持っていれば、何かしらの対策を打てたはずですね。
しかし、社会人になってバリバリ働き、経済的にも自信がついてきたところで老後の危機感を持つことは、なかなか難しいことですよね。どうすればよいのでしょうか?

この記事で分かること
・老後資金の適切な危機感の持ち方
・長期的な対処につなげる考え方

具体的には次の方法でこれらを見ます。

  • 長期目標から逆算して短期目標を設定。
  • 短期目標に対する具体的な行動を実施。

短期目標化による危機意識向上

学生時代でも同じような経験はありませんか?例えば「1年で1200語覚えるぞ!」という長期目標に対して、現実的で具体的な行動に落とし込む例です。

長期目標:「1年で英単語を1200語覚えるぞ!」
目標時期目標
1年後1200語覚える。
1ヶ月後100語覚える。
1週間後25語覚える。
具体的行動
平日・行きの電車で5語覚える。
・帰りの電車で5語復習する。
週末その週に覚えた25語復習する。
危機感を感じたら挽回する。

週末の復習のときに、「アレ?今週は1日サボったから20語しか覚えていない。」と気づいたら、「コレは危険!」と感じて挽回しようとするでしょう。このように、短期目標を設定することで、達成状況が見えやすくなり、未達時に危機感を持って対処できます。

人生の家計についても基本的には同じ考え方で対応できます。
30年後の老後資金の目標→10年後の目標→1年後の目標→1ヶ月の目標・・・。と逆算し、短期目標化していくのです。

複雑な家計の目標は?

ところが、人生の家計はそれほど単純ではないことに気づくかもしれません。日常の生活費だけでなく、子どもの教育費など、進路や時期によって変動が大きいものや、事故や故障のための臨時出費、マイホーム購入費用のように人生を左右する巨額の出費など、様々な特徴を持つ費用が混ざっており、短期目標を立てるのは意外と難しいものです。

そこで、次の方法をお勧めします。

  • 金融資産残高の推移をシミュレーション
  • 金融資産残高をプラスに維持できるように生活費を調整

これにより、若い頃くても今の生活費にかけられる目安を把握し、それを超えていれば危険だと気づけます。また、若い時に気づけば、老後まで時間があることを武器にして、長期的に対処できるのが強みです。

どれだけ貯めれている?

総務省統計局の2021年の家計調査(家計収支編)のデータをもとに作成した次の表によると、金融資産(主に預貯金)を毎月・毎年どれくらい増やせているのかという傾向が分かります。

世帯主
年齢階級
金融資産純増
(円/月)
金融資産純増
(万円/年)
~29歳 155,795187
30~39歳 173,963209
40~49歳 173,051208
50~59歳 164,473197
60~69歳 84,839102
70歳~ 55,19566
・出所:「家計調査(家計収支編)」(総務省統計局)の2021年のデータを加工して作成。
・住宅ローン返済世帯、勤労者世帯に着目。
・金融資産純増は、預貯金純増、保険純増、有価証券購入を含む。

皆さんのご家庭の貯金のペースと比べていかがでしょうか?「我が家はそんなペースでは貯金できていないよ・・・」という方は焦るかもしれませんが、これは統計的な平均からの目安の1つであり、家族構成、収入、支出は様々なので、個々のケースで考える必要があります。
本記事では次の例でシミュレーションしてみましょう。

シミュレーション

シナリオの設定条件

家族条件歳(現在)生計から外れる
30100歳で死亡
27100歳で死亡
第1子023歳で独立
第2子3年後に誕生23歳で独立
  • その他の詳細データはこちらを参照。

1. 危機感ナシで老後突入

ではまず、現役時代に危機感を持たないまま優雅な生活を続けていると、どうなるでしょうか?なお、夫61歳以降は給与収入を大きく減らし、マイペースで働くことにします。

収入条件万円/年年齢変動率(%)
給与400夫30-60歳1
 200夫61-65歳1
 120夫66-70歳1
支出条件万円/年年齢変動率(%)
生活費324夫30歳-39歳2
360夫40歳-49歳2
376夫50歳-59歳2

※夫30歳時点の水準で表示しています。

すると結果はどうでしょうか?

1. 危機感ナシで老後突入
  • 給料も貯金もアップ、結婚して子どもも生まれ、マイホーム購入、経済的に自信が出てきた30代。
  • 生活費も順調に上がっていき、徐々に貯金ペースも落ち、急なピッチで取り崩しが始まった40代。
  • 教育費のピークを迎えて金融資産は底をつき、足りない分を奨学金でカバーした50代。
  • 70歳まで働ければ大丈夫との期待が外れ、甘かったことに気づいた60代。

気づくのが遅すぎますね!

2. 老後もハードな働き方で挽回

子ども自身に奨学金という負債を負ってもらうとしても、子どもには子どもの人生や生活があります。自分たちの老後資金まで子どもに頼るのは忍びないとなると、60代でもそれなりに稼げる働き方をしなければなりませんね。

ここでは、夫61歳時点の収入ダウンを75%までしか許さず、さらに66歳時点の収入ダウン幅の許容値もケース1より厳しくしてみます。(それでも生活費はケース1と変えず。)

収入条件万円/年年齢変動率(%)
給与400夫30-60歳1
 300夫61-65歳1
 240夫66-70歳1
支出条件万円/年年齢変動率(%)
生活費324夫30歳-39歳2
360夫40歳-49歳2
376夫50歳-59歳2

※夫30歳時点の水準で表示しています。

するとどうなるでしょうか?

2. 老後もハードな働き方で挽回

残念ながら気づくのが遅かった場合、老後にしわ寄せが来ます。

では、通常よりどれだけ頑張って働かなければならないのでしょうか?総務省統計局の2021年の家計調査(家計収支編)のデータをもとに作成した次の表によると、60代の世帯主収入は50代に比べて6割程度に減る傾向があります。

世帯主
年齢階級
世帯主収入
(円/月)
50代を100%とした比較
~29歳 371,21766%
30~39歳 457,49182%
40~49歳 537,53596%
50~59歳 561,271100%
60~69歳 340,23561%
70歳~ 178,73232%
・出典:「家計調査(家計収支編)」(総務省統計局)の2021年のデータを加工して作成。
・住宅ローン返済世帯、勤労者世帯に着目。

今回の例のように61歳時点の収入ダウンを75%に抑えようと思うと、それなりにハードな働き方が求められるかもしれませんね。

働くことに生きがいを感じられるのであれば、それも良いでしょう。逆に「給料は少なくても良いからマイペースでゆっくりと働き、他のことに時間もお金も使いたい!」という選択の自由がないとすると、つらいかもしれませんね。

3. 早くから備えてゆとりの老後

では、早くから老後の適切な危機感を持ち、生活費を調整してみましょう。

収入条件万円/年年齢変動率(%)
給与400夫30-60歳1
 200夫61-65歳1
 120夫66-70歳1
支出条件万円/年年齢変動率(%)
生活費276夫30歳-39歳2
312夫40歳-49歳2
328夫50歳-59歳2

※夫30歳時点の水準で表示しています。

するとどうなるでしょうか?

3. 早くから備えて、ゆとりの老後

これなら老後に焦ることもなく、マイペースで働きながら、前のケースより時間的・経済的にもゆとりを持って過ごせそうですね。

このような金融資産残高のシミュレーションにより、現役中にかけられる生活費の目安が分かります。上記の表をの再掲になりますが、毎月の生活費(=短期目標)に直すと、次の黄色の箇所のようになります。

支出条件万円/年万円/月年齢変動率(%)
生活費27623夫30歳-39歳2
31226夫40歳-49歳2
32827夫50歳-59歳2

ケース1,ケース2では、生活費がこれを超えており(つまり短期目標を達成できておらず)、危機感を持って長期的な対処が必要でしたね。

まとめ

老後をぜひ安心して楽しく過ごしたいものですね。仕事が生きがいとなり、稼ぐための仕事の労力も時間も惜しまないのであれば問題ありません。しかし、「給料は少なくても良いからマイペースでゆっくりと働き、他のことに時間もお金も使いたい!」と思っている場合に、その選択肢がないのはつらいことです。

そのことに後になって気づいても時遅しです。ぜひ皆さんも、人生の家計を長期的に見通し、早くから適切な危機感を持ちましょう。老後まで時間があることを武器にして、長期的に対処できるのが若い方の強みです。

とはいえ、個人の価値観や諸事情により、どうしてもいまの生活レベルを優先せざるを得ないケースもあります。その場合、老後になってから慌てないように厳しく見積もり、他の対策も考えておくことをお勧めします。ここでは生活費の調節で対処しましたが、他にも教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。

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