こだわりの注文住宅!住宅ローン地獄で後悔?建売とどっちが合理的?

こだわりの注文住宅!住宅ローン地獄で後悔?建売とどっちが合理的?

やっぱり注文住宅は魅力的!おしゃれな屋根や窓のデザイン、吹き抜けのある開放的なリビング、芸術的なセンスのある内装!」一方、「パワービルダーの建売住宅は、どれも似たり寄ったりで面白味がないなぁ・・・。」

夢のマイホームを探しているうちに、こう感じるかもしれません。しかし、一般的に注文住宅のほうが値段が高いのが気になるところですね。

「ならば、注文住宅でも予算の範囲内に収まるように、こだわる部分を決めて取捨選択し、他の部分は逆に低コストで抑えればいいじゃないか!」と思うかもしれませんが、そんなにうまくいくのでしょうか?

注文住宅の施工業者と打ち合わせを重ねるたびに、いろんな選択を迫られることでしょう。

  • 廊下にも収納を付けますか? → そうですね。たくさん置きたい物があるので。
  • 2階にも洗面所を付けますか? → はい、家族も増えそうなので。
  • この柱の木材は見栄えが良くて、手触りも良いですよ。→それにします。
  • 長期優良住宅で耐震性の優れたものにしますか?→そうですね。大地震で大事なマイホームを失っては困るので。
  • 床暖房はお考えですか?→あ、はい。冷え性なのでそのほうが・・・。
  • 太陽光発電は?→電気代も高くなっているので、自家発電したいです。
  • 外構は石垣で囲ってはどうですか?→我が城!いいですね。
  • ウッドデッキを作りますか?→はい、そこで家族でランチできたら素敵です!
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と、コストが上がるネタは尽きないことでしょう。

そのうち金銭感覚がマヒしてきて、チリも積もれば、当初の予算より+2000万円!あれ?決めていたはずの予算が・・・。

しかし、一度良い選択肢を知った後、レベルを下げるのは心理的に抵抗があるものです。人生最大の買い物だから、ここは思い切って奮発しよう!とすると、その後の家計はどうなるのでしょうか?

結局、ローンを支払えなくなり、泣く泣く手放すことになってしまうかもしれません。さらに悪いことに、あれだけこだわった自慢の家なのに、自分仕様が裏目に出て、思ったほど高く売れない!?ということも考えられます。

そんなことにならないように、どうしたらよいのでしょうか?

この記事はこんな人におすすめ
・注文住宅の購入を考えている人。
・思ったよりコストが高くつきそうで、住宅ローンの返済が不安な人。
・建売とどっちが合理的なのか悩んでいる人。



住宅ローン地獄で後悔しないためには?

将来の家計を維持できる範囲で予算を決め、変えないことが重要です。

注文住宅は選択の自由度が高いだけに、チリも積もってコストが上昇しがちですが、将来の家計を見通し、適切な予算内に抑えられる選択をしましょう。こだわりのポイントによっては、建売が合理的なケースもあります。

注文住宅と建売の価格差は?

注文住宅と建売の価格差はどれくらいあるのでしょうか?

住宅市場動向調査報告書(国土交通省)を加工して作成した次の表によると、どの年度の結果を見ても、注文住宅(土地も購入)のほうが、建売よりも数百万円高い傾向があります。

一次取得者の購入資金(万円)
住宅市場動向調査
報告書
注文住宅
(土地購入した新築世帯)
分譲戸建住宅
(建売)
令和2年度4,4863,757
令和3年度4,8794,205
令和4年度4,7134,074
住宅市場動向調査報告書(国土交通省)(各年度分の報告書のURLは下記)を加工して作成(注文住宅の調査地域は全国、その他住宅は三大都市圏での調査)
令和2年度:https://www.mlit.go.jp/common/001401319.pdf
令和3年度:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf
令和4年度:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001610299.pdf

注文住宅だからこそ、低コストに抑えられる部分もあるはずですが、全体的な傾向としては、やはり注文住宅のほうが高いのですね。

ここに掲載したのはあくまで統計的な数値であり、個々のケースでは下手すると1億円など、はるかに高いコストをかけている注文住宅もあるでしょう。

では、予算オーバーの注文住宅を買った場合、どのような将来が待っているのでしょうか?この記事では、次のシナリオの設定条件でシミュレーションしてみます。


シミュレーション
〜予算オーバーの注文住宅で家計は苦しい?〜

シナリオの設定条件

  • 家族条件
家族条件歳(現在)生計から外れる
30100歳で死亡
27100歳で死亡
第1子023歳で独立
第2子3年後に誕生23歳で独立
  • 住宅、住居条件
    マイホーム購入予算は当初、いずれのケースでも4,500万円と決めていましたが、ケース1とケース2では、注文住宅の打ち合わせを重ねるうちに、6,500万円まで跳ね上がってしまったことを想定します。
比較項目ケース1ケース2ケース3
住宅種類注文住宅注文住宅建売
住宅購入費用(万円)4,500→
6,500にUP
4,500→
6,500にUP
4,500
自己資金
(万円)
1,0001,0001,000
親の援助
(万円)
1,0001,0001,000
住宅ローン借入額(万円)4,5004,5002,500
住宅ローン返済額(万円/月)181810
住居購入後、住み続け売却後、低額な賃貸に移住購入後、住み続け
  • その他の詳細データはこちらを参照。

1. 注文住宅で予算オーバー(4500万円超)

ではまず、こだわりの注文住宅に憧れ、当初の予算4,500万円より大幅にUP (+2,000万円) してしまったケースについてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?

1. 注文住宅で予算オーバー(4500万円超)

やはり、毎月18万円の住宅ローン返済はキツかった・・・。50代の教育費のピークを迎える時期に資金ショート、退職金で一時的に持ち直したのもつかの間、その後も住宅ローン残債の返済や老後の生活費で、またまた資金ショートしてしまいますね。

それを対策するには、子どもの進路を国公立に制限する、子どもに奨学金を負わせる、老後の生活資金を抑える、介護施設は最低限にする、など、人生を通して我慢が続きそうです。そこまでしてでも注文住宅でこだわりたいという、はっきりした覚悟があるなら良いのですが・・・。

2. 注文住宅を売却後、安い賃貸に

では次に、ケース1と同様に注文住宅を購入したものの、教育費のピークを目前にしてこれはマズイと気づき、泣く泣くマイホームを売却したケースについてシミュレーションしてみます。

「あれだけこだわった自慢のマイホームだもの。高く売れるに違いない!」と思いきや、自分仕様が裏目に出て買い手が簡単に付かず、リセールバリューはガクンと落ちたらどうでしょうか?ここでは元々6,500万円かけたマイホームを、結局2,000万円まで妥協して売却することになったものとします。

しかも売却後は家族4人で家賃5万円/月の安くて狭い賃貸に移住し、理想とは真逆の住居で暮らし続けることに。背に腹は変えられませんね。

ではこの場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?

2. 注文住宅を売却後、安い賃貸に

マイホームを売ったにもかかわらず、教育費のピークの時期や老後に資金ショートを起こしてしまいました。

売却後の賃貸については、毎月5万円の賃料(夫30歳時点の現在価値で表示、変動率0.5%)としましたが、夫51歳〜93歳の43年間借り続ければ、3000万円以上の賃料がかかります。

結局この場合も、子どもの進路や教育ローン、生活費の削減など、色々と我慢し続ける必要がありそうですね。

3. 予算内で建売

では最後に、予算内に収まる建売(購入費用4,500万円)を購入した場合についてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?

3. 予算内で建売

決めた予算が適切であり、その範囲で購入できる建売を選択すれば、一生安心して過ごせそうですね。

まとめ

もちろん注文住宅でも、優先度をつければ低コストに抑えられる部分はありますが、問題は決めた予算を守れるかということです。注文住宅では、細部の仕様を打ち合わせる段階で、自由度が高い分、チリが積もってコストが上昇しがちです。間違えてはいけないのは、自由度が高いのは取捨選択の内容であり、予算も自由なのではないという点です。将来の家計を見通して試算することで予算の限度が自ずと決まりますので、その範囲で取捨選択をしましょう。

一方、建売であれば、総費用が決まったものの中から予算に合うものを選択しやすく、また、コスト効率も良いため、同じ価格であれば注文住宅よりも優れたものを買える可能性もあります。こだわりの内容や度合いによっては、意外と建売が合理的なのではないでしょうか?

とはいえ、個人の価値観や諸事情により、どうしても注文住宅を譲れないケースもあります。その場合、住宅ローンの返済で破綻しないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。

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