残そう教育費!オトクな繰り上げ返済で大誤算?

残そう教育費!オトクな繰り上げ返済で大誤算?

ついに買った夢のマイホーム!しかし、目が飛び出るほどの多額の借金(=住宅ローン)を抱え、プレッシャーを感じているのではないでしょうか?特に、幼少の頃から「借りたものはちゃんと返しなさい!」などと言われて育った真面目な方ほど借金は悪いイメージが強く、今まで背負ったこともないような重圧を感じているかもしれませんね。

繰り上げ返済は、借金返済のプレッシャーを軽くするものである一方で、金利の支払いが減り大変オトクなものでもあります。

住宅ローンだけに着目すれば確かにそうですね。特に子どもの教育費の負担が小さいうちは、どんどん繰り上げ返済したくなるのも無理もありません。しかし、その後の教育費はうなぎのぼり。今は貯蓄がそれなりにあるからといって繰り上げ返済して本当に大丈夫なのでしょうか?

この記事で分かること
繰り上げ返済を頑張った結果、
・将来家計(特に教育費)への影響
・許容可能な繰り上げ額とは?
その場合どれくらいオトク?

具体的には次の方法で分かります。

  • 将来の金融資産残高をシミュレーション
  • 金融資産残高をプラスに維持できるように繰り上げ返済額を調整

繰り上げ返済の額や時期は感覚だけで判断して失敗することのないように、きちんと将来の家計を見通して決めましょう。

統計から見える負債の重荷

2021年(令和3年)の総務省統計局の家計調査(貯蓄・負債編)によると、二人以上の世帯で世帯主が40代未満では貯蓄より負債のほうが圧倒的に大きく、40代になってようやく同程度になる傾向です。

年齢階級貯蓄現在高
(万円)
 負債現在高
(万円)
40歳未満7261366
40~49歳11341172
50~59歳1846692
60~69歳2537214
出典:「家計調査(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」(総務省統計局)のデータをもとに作成

多くの人にとって、マイホームは人生最大の買い物です。自分が今すぐ支払える現金よりもはるかに大きい負債を突然抱え、何十年もかけて少しずつ返済していくのですから、大きなプレッシャーがかかるのも無理もありませんね。

シミュレーション

では、冷静に判断するため、次の例でシミュレーションしてみましょう。

前提

家族条件歳(現在)生計から外れる
35100歳で死亡
32100歳で死亡
第1子523歳で独立
第2子223歳で独立
住宅ローン負債条件
(固定金利、元利均等、27年)
借入額2500(万円)夫36歳時
金利2(%)全期間固定
毎月返済額120(万円/年)

その他の詳細データはこちらを参照。

1. 繰り上げ返済なし

まず、繰り上げ返済をしない場合は、計画どおりの水準で生活すれば問題は生じません。つまり、この例では金融資産残高はプラスを維持できるように借入額を決めたわけです。

1. 繰り上げ返済なし

2. 繰り上げ返済を頑張りすぎ

では、頑張って繰り上げ返済をした場合、どうなるでしょうか?ここでは、教育費の負担がまだ小さいうちに今なら返せるだろうと考え、二度に渡って繰り上げ返済をしたものとします。

支出条件返済額(万円)年齢
住宅ローン
繰り上げ返済
500夫38歳
300夫41歳

住宅ローンだけに着目すれば金利の支払いが減るので大変オトクです。実際、ケース1の返済総額(3,266万円)と比べて、このケース2の返済総額は2,908万円となり、358万円もオトクですね!

しかし、その後の家計はどうなるのでしょうか?

2. 繰り上げ返済を頑張りすぎ

なんと、子どもたちが大学に進学している頃には金融資産はマイナスに転落してしまいます。住宅ローンを頑張って返済しすぎたばかりに、次のような対応を取らざるを得なくなってしまっては、元も子もありませんね。

  • より高い金利で教育ローンを組む。
  • 子供の進路を制限する。(国公立しかダメなど)

3. わずかな繰り上げ返済で綱渡り

では、いくらの繰り上げ返済なら許容できるのでしょうか?ここでは夫38歳時点で50万円だけ繰り上げ返済することにしてみます。

支出条件返済額(万円)年齢
住宅ローン
繰り上げ返済
50夫38歳

すると、どうなるでしょうか?

3. わずかな繰り上げ返済に調整

大学進学の時期でも金融資産残高はかろうじてプラスを維持できましたが、緊急時のお金も手元に残らず、綱渡りの状況ですね。

ちなみにこの場合、ケース1の返済総額(3,266万円)と比べて、このケース2の返済総額は3,235万円となり、31万円程度のオトクにはなります。

さて、皆さんは綱渡りをしてまでこのオトクさを求めますか?住宅ローンの返済は長期に渡るものですから、その間にどんな想定外のことが起きるかわかりません。金利により安心を買っている(いわば保険料のようなもの)という考え方もできると思います。慎重に検討しましょう。

まとめ

多くの人にとって人生最大の買い物であるマイホームですが、プレッシャーとオトクさからどんどん繰り上げ返済をしたくなるかもしれません。しかし、教育費のピークの時期に資金ショートしてしまっては、オトクどころか、教育ローンとのダブルローンや、進学先の制限など、本末転倒の結果になってしまいかねません。繰り上げ返済は早いほど金利を削減する効果がありますが、教育費の目処がある程度立ってから実施してはいかがでしょうか?

とはいえ、個人の価値観や諸事情により、どうしても早く繰り上げ返済したいケースもあります。その場合、教育費のピークになってから慌てないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。

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