逃してはならない貯め時!習い事の取捨選択を!

逃してはならない貯め時!習い事の取捨選択を!

「我が子にいろんな経験をさせたい!」「得意なことを延ばしてあげたい!」スポーツクラブ、文化活動、英会話に学習塾と、やらせたい習い事は尽きないのではないでしょうか?

いずれは子ども自身が道を選んでいくとしても、経験したことがなければ、興味すら持たないまま終わってしまうこともあるでしょう。そのため、機会を与えるのが親の役目だという考え方もあります。もう1つか2つぐらい習い事を増やしても、今のところ家計の収支はプラスの見込みで、生活に不自由はなさそう。であれば、少しでも子どもに投資をしようと思うかもしれません。

一方、将来の教育費は大丈夫なのでしょうか?今より給料もアップしているはずだし、習い事をやめれば、その分を進学費用に当てられると楽観的に考えてよいのでしょうか?

うっすらと不安を感じながらも、やらせたい習い事はたくさんあるし、一度始めた習い事は、子どもの気持ちや付き合いの関係もあり、やめるのも意外と難しいものです。初めはとりあえず一年だけと思っていた習い事でも、親子ともに葛藤しながらもう一年、もう一年と・・・。例えば次のように、積み上がってしまいがちですね。

月謝(円)幼稚園小学校
 年少年中年長1年2年3年4年5年6年
ピアノ¥6,000¥7,000
スイミング ¥8,000 
バレエ ¥8,000¥11,000¥15,000
造形教室 ¥5,000 
習字教室 ¥5,000 
学習塾 ¥8,000¥13,000¥20,000
英会話 ¥7,000¥9,000
毎月の合計¥6,000¥19,000¥27,000¥46,000¥51,000¥59,000

我が子のためを思って投資した親の判断の結果、将来の進学時に奨学金という負債を子どもに負わせたり、子どもの進路を制限してしまったらどうでしょうか?子どもの幸せを願っての習い事ですので、長期的な視点で考えたほうが良さそうですね。

この記事で分かること
・習い事の進学費用への影響
・習い事の限度費用の考え方

具体的には次の方法でこれらを見ます。

  • 将来の金融資産残高の推移をシミュレーション
  • 金融資産残高をプラスに維持できるように習い事費用を調整

目の前で待ったなしの子どもの教育費は聖域としてしまいがちですが、将来の進学費用まで含めて家計を見通し、適切に配分しましょう。

統計データから見る学外活動費

文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査」をもとに著者が作成した次の表のうち、幼稚園や学校以外でかかっている教育費の費用(習い事、学習塾など)に着目してみましょう。

学習費
(万円)
 公立私立
 年間毎月年間毎月
幼稚園総額16.51.430.92.6
うち学校外活動費9.10.814.41.2
小学校総額35.32.9166.713.9
うち学校外活動費24.82.166.15.5
文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査」をもとに著者作成

学校外活動費、つまり自宅学習や学習塾・家庭教師、体験活動や習い事などの経費として、多くの子が通う私立幼稚園と公立小学校のケースをピックアップします。(表の中の黄色部分)

  • 私立幼稚園の場合:毎月約12,000円
  • 公立小学校の場合:毎月約21,000円

というのが平均的な費用になり、これが一つの指標になります。

「こんなにかけているの?」「えっ、これだけ?」など、様々な反応があるかもしれませんが、その感覚は適切でしょうか?現在の収支状況からは余裕がありそうな気がしても、将来の進学費用も含めて実際に数値化して見積もってみないと分かりませんよね。では、次の例でシミュレーションしてみましょう。

シミュレーション

前提

家族条件歳(現在)生計から外れる
35100歳で死亡
32100歳で死亡
第1子523歳で独立
第2子223歳で独立

その他の条件はこちらを参照。

1. 習い事の積み上がり

まず、習い事の積み上がりの結果、次のように平均より毎月2〜3万円 (年間24〜36万円) 多く教育費にお金がかかった場合、どうなるでしょうか?

教育費万円/年年齢変動率(%)
私立幼54.9
(平均+24)
4-6歳2
公立小59.3
(平均+24)
7-9歳2
公立小 71.3
(平均+36)
10-12歳2
公立中53.913-15歳2
私立高105.416-18歳2
私立大(理)自宅205.419-22歳2
・夫35歳時点の物価水準で表示
・2人の子どもとも同じ条件とする。
・ここでの教育費とは、学校教育費、学校給食費なども含むものとする。
1.習い事の積み上がり

なんと、子どもが大学在学中に、金融資産がマイナスに転落してしまいました。子どもが小さい頃は楽観的に考えていた教育費ですが、ピークの時期は恐ろしいですね。

2. 奨学金で対処

では、ケース1と同じだけ習い事にお金をかけて、教育費のピークの時期を乗り越えるため、奨学金を借りた場合はどうなるでしょうか?ここでは、大学在学中、毎年50万円 × 4年間 = 200万円の奨学金を借り、年間支出を50万円ずつ減らしたものとみなしてシミュレーションしてみます。

教育費万円/年年齢変動率(%)
私立幼54.9
(平均+24)
4-6歳2
 公立小59.3
(平均+24)
7-9歳2
 公立小71.3
(平均+36)
10-12歳2
公立中53.913-15歳2
私立高105.416-18歳2
私立大(理)自宅155.4
(奨学金で軽減)
19-22歳2
・夫35歳時点の物価水準で表示
・2人の子どもとも同じ条件とする。
2. 奨学金で対処

すると、何とか金融資産をプラスに維持できますね。というのは親側の話であり、軽減された分は、子どもが負債として将来返済しなければならないタイプの奨学金であれば、ぬか喜びはできませんね。かといって、高校や大学を国公立に制限するのもつらいですね。

3. 平均並みの習い事

では、習い事を平均並みに抑えた場合はどうなるでしょうか?

教育費万円/年年齢変動率(%)
私立幼30.9(平均)4-6歳2
 公立小35.3(平均)7-9歳2
 公立小35.3(平均)10-12歳2
公立中53.913-15歳2
私立高105.416-18歳2
私立大(理)自宅205.419-22歳2
夫35歳時点の物価水準で表示
3. 平均並みの習い事

この場合は金融資産もプラスに維持でき、かつ、私立の高校や大学に進学する選択肢も用意することができました。

まとめ

我が子に豊かな人生を送ってもらうため、いろんな経験をさせて可能性を広げたいものですね。しかし、親の判断で習い事にお金をかけ過ぎると、将来、奨学金という負債を子どもに負わせたり、進路を制限したりなど、結局は子どもの選択肢を奪ってしまうことになりかねません。将来の進学費用まで含めて習い事の予算枠を決め、新しい習い事を始める場合もその範囲内で取捨選択することが重要です。我が子のこの先の人生においても、進学、就職、結婚、住居など大きな選択を迫られる局面はたくさん待っています。限られたお金や時間の中で、優先度を付けて取捨選択することは必須ですね。習い事の取捨選択を子どもと一緒に考えることも、大事な教育の一環ではないでしょうか?

とはいえ、個人の価値観や諸事情により、どうしてもいまの習い事を優先せざるを得ないケースもあります。その場合、教育費のピークになってから慌てないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。

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