投資信託は分配金なしが有利?簡単な複利効果計算と注意点も!
投資信託による運用方法において分配金が「あり」か「なし」かは重要です。それぞれにメリットとデメリットがあるからです。
分配金を受け取ると現金収入が得られますが、その分運用対象の資産が減るため、複利効果のような期待をしにくくなります。一方、分配金なしの場合は、再投資により元本の増加を期待でき、長期の資産運用を考えると有利なことがありますが、注意点もあります。
本記事では、分配金なしの投資信託で積立投資する際の参考として、簡単な複利効果計算の方法を、年金終価係数やグラフを用いて一目で分かりやすく解説します。
資産形成を考えるには、複利効果や運用期間の影響を理解することが重要です。この記事を参考に、目的に合った投資信託の活用と、長期的な視点での資産形成を検討しましょう。
・分配金あり/なしの投資信託のメリットとデメリット
・積立の場合の複利効果計算の簡単な方法
・分配金なしの注意点と資産形成の重要ポイント
投資信託:分配金ありとなし
投資信託の分配金とは?いつつく?
投資信託の分配金は、決算のたびに運用収益の一部が投資家に還元されるものです。この点で株式の場合の配当金と似ており、定期的な現金収入を期待しやすいのがメリットです。
- メリット
- 定期的な現金収入を期待しやすい。
- デメリット
- 分配金が再投資されない分、複利効果のような期待をしにくい。
毎月分配型商品の留意点については、次のページでも解説されています。
「投資信託」(金融広報中央委員会「知るぽると」)(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/hyakka/part2/toshin/toshin009.html)
- 分配金が再投資されない分、複利効果のような期待をしにくい。
投資信託ごとに決算日のタイミングは異なり、毎月、半年おき、毎年など様々です。
分配金なしの投資信託は有利?
分配金なしの投資信託では、分配金が支払われず運用収益が再投資に回されます。
- メリット
- 再投資に回された分、元本が増えることで、複利効果のような期待をしやすい。
- 複利効果は長期で運用するほど大きくなり有利な傾向がある。
- デメリット
- 分配金がないため短期的な現金収入を得られない。
- 業績が悪化すると基準価額が低下し、再投資分の元本も目減りする可能性がある。
複利効果計算の簡単な方法
ある元本を常に年利○%で運用するとX年後にいくらに増えているのでしょうか?次のように簡単に計算できます。
複利効果でX年後の資産は?
元本 × (1 + 年利○%)X年後
この計算式からも分かるように、年数が経つにつれて資産は指数関数的に増加します。長期で運用するほどうなぎのぼりということですね。
実感しにくい積立の複利効果は?一目で分かるX年後の総資産額
でも、ここで知りたいのは積立資産の複利効果ですね。運用しながら積み立てると、将来の資産総額はいくらになるのでしょうか?
計算式は何やら複雑になりそうですが、次の年金終価係数を利用すると、将来の総資産額を簡単に計算できます。
X年後の総資産額
毎年の積立額 × 年金終価係数
年金終価係数(1年複利)は、年数や年利により異なりますが、次のグラフを見れば、毎年の積立額をだいたい何倍すればよいのか簡単に分かります。
具体例で見てみましょう。例えば、毎年10万円ずつ積み立てる場合の、将来の積立資産総額は次のようになります。10万円に上のグラフの年金原価指数を掛ければよいのですね。
運用期間が長くなるににつれて資産総額が急激に増加する様子が分かります。このため、長期で運用すると複利効果は大きくなるのです。
このように、積立資産の複利効果を数値的に計算することで、資産形成の具体的な目標設定が可能になります。
分配金なしの注意点と資産形成の重要ポイント
- 定期的な分配金による収入がないため、余剰資金の範囲での投資になるように、資金計画が必要です。
- 上の複利効果を示すグラフでは年利を一定と想定しましたが、実際の投資信託の運用利回りは業績により変動する可能性があります。必ずしもグラフのように順調に資産総額が増えるとは限らず、タイミングにより損失が出ることもあるのです。
一般的に、大きな利回り(高いリターン)を期待するほど、大きな振れ幅(高いリスク)を覚悟する必要があります。 - 業績悪化時に安値で慌てて売却して損しないように、長期的な目線で運用することが重要です。
まとめ
分配金なしの投資信託は、複利効果のような期待をしやすく、長期的に効率よく資産を増やせる可能性があります。また、年金終価係数を活用する方法で、将来のだいたいの積立資産総額を簡単に計算することができます。
ただし、業績悪化により再投資分の元本も目減りするリスクがあります。また、分配金収入が得られないために手元の現金が不足することがないように、計画的な資金管理が必要になります。
この記事でご紹介したメリット・デメリットや注意点を踏まえ、目的に合った投資信託を選び、長期的な視点での資産形成を検討しましょう。
とはいえ、個人の価値観や諸事情により、どうしても分配金ありの投資信託を利用せざるを得ないケースもあります。その場合、期待したほど資産を増やすことができずに慌てないように、資金計画を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。