教育費、下の子が我慢?上の子へのかけすぎに注意!

教育費、下の子が我慢?上の子へのかけすぎに注意!

上の子はいつまでも上の子。進学や進級などのたびに初めてのことの連続で、親も手さぐりですよね。教育費の面でも、どこまでお金をかけてよいのか迷うこともあるでしょう。

子どもが希望する習い事をやらせたいですし、親側も「周りの子たちも英会話に通い出したから、時代に乗り遅れないようにうちも習わせないと。」などと焦りがちです。

しかし、下に弟や妹がいる場合、いずれ下の子にも色々とやらせたいときが来るでしょう。その時、下の子にお金が回らず我慢させることになったら可愛そうですね。将来、下の子は自分にはお金を使ってもらえなかったという不平等感や愛情の偏りを感じるなど、親子・兄弟姉妹関係にも影響しかねません。親としては可能な限り平等な機会を与えたいものです。
とはいえ、目の前の上の子の成長は待ってくれません。大切な今を逃して後悔することのないように、できる限りのことをしたいところですが、一体どれだけ上の子にかけてよいのでしょうか?

この記事で分かること
兄弟姉妹間の平等な教育機会のための
・上の子への教育費の配分
・下の子への影響
・対策のヒント

具体的には次の方法でこれらを見ます。

  • 将来の金融資産残高の推移をシミュレーション
  • 金融資産残高をプラスに維持できるように収支を調整

目の前で待ったなしの上の子の教育費は聖域としてしまいがちですが、下の子の教育費まで含めて将来の家計を見通し、適切に配分しましょう。

統計データから見る学外活動費

文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査」をもとに著者が作成した次の表のうち、幼稚園や学校以外でかかっている教育費の費用(習い事、学習塾など)に着目してみましょう。

学習費
(万円)
 公立私立
 年間毎月年間毎月
幼稚園総額16.51.430.92.6
うち学校外活動費9.10.814.41.2
小学校総額35.32.9166.713.9
うち学校外活動費24.82.166.15.5
文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査」をもとに著者作成

学校外活動費、つまり自宅学習や学習塾・家庭教師、体験活動や習い事などの経費として、多くの子が通う私立幼稚園と公立小学校のケースをピックアップします。(表の中の黄色部分)

  • 私立幼稚園の場合:毎月約12,000円
  • 公立小学校の場合:毎月約21,000円

というのが平均的な費用になり、これが一つの指標になります。

意気込んでいる親御さんの中には「これじゃ話にならない!」と思った方もいるかもしれません。例えば、次のような習い事・塾に通わせたい場合、月謝の平均額より2万円も超過してしまいますね。

月謝(円)幼稚園小学校
ピアノ¥6,000¥7,000
スイミング¥8,000 
バレエ¥8,000¥10,000
造形教室¥5,000 
習字教室 ¥5,000
学習塾¥5,000¥12,000
英会話 ¥7,000
合計¥32,000¥41,000
平均¥12,000¥21,000
平均から超過¥20,000¥20,000

さて、成長を待ってくれない目の前の上の子に対して、どこまで配分しますか?現在の収支状況からは、余裕がありそうな気もしますが、実際にはどうでしょうか?

では、次の例でシミュレーションしてみましょう。

シミュレーション

シナリオの設定条件

家族条件歳(現在)生計から外れる
35100歳で死亡
32100歳で死亡
第1子523歳で独立
第2子223歳で独立

その他詳細データはこちらを参照。

1. 上の子に平均+2万円の月謝、私立中学

まず、上の子に手厚くお金をかけた場合、今後の家計の見通しはどうなるでしょうか?なお、下の子は平均的とします。

学校外活動費上の子下の子
幼稚園平均+2万円平均
小学校低学年平均+2万円平均
小学校高学年平均+2.1万円平均
学校種別上の子下の子
中学校私立公立
高校私立私立
大学私立私立
1. 上の子に平均+2万円の月謝、私立

この場合、下の子は平均的な学校外活動費であるにも関わらず、在学中に金融資産残高がマイナスに転落してしまいます。また、老後の生活や、長生きした場合の介護費用も不安ですね。上の子の教育を手厚くした結果、自分たちの生活にも多大な影響を与えてしまいます。眼の前の上の子の教育費は何とかなったとしても、先々の下の子に対する考慮が不足していたことになりますね。

2. 下の子がずっと我慢

では、上の子は手厚くする一方で、下の子に我慢してもらうとどうなるでしょうか?

学校外活動費上の子下の子
幼稚園平均+2万円平均
小学校低学年平均+2万円平均
小学校高学年平均+2.1万円無し
中学校種別上の子下の子
中学校私立公立
高校私立公立
大学私立国公立
  • 下の子は小学校高学年で、習い事も塾も無し。
  • 下の子は国公立の高校・大学に制限。
ケース2. 下の子がずっと我慢

これでなんとか資金ショートは回避できるものの、下の子にとって不公平感は否めません。今後の親子・兄弟姉妹関係への悪影響も懸念されます。

3. 平等で平均的

では、二人とも平等で平均的な学校外活動費としてみましょう。

学校外活動費上の子下の子
幼稚園平均平均
小学校低学年平均平均
小学校高学年平均平均
中学校種別上の子下の子
中学校公立公立
高校私立私立
大学私立私立
ケース3. 平等で平均的

これで平等になり、親子・兄弟姉妹関係だけでなく、家計も一生安心できそうですね。このケースでは結局、平均的な学校外活動費に抑えるのが正解でした。

まとめ

年齢の異なるお子さんがいらっしゃる場合、お金のかかる時期がずれますので、上の子の各段階で教育費の適切な配分を見積もるのは難しいですね。現在の収支状況だけでなく、将来に渡って金融資産をシミュレーションしなければわかりません。今回は、二人の子どもの配分を調節してみました。しかし、どうしても上の子に手厚く教育費をかけたい場合には、下の子への配慮のためにも、教育費以外の対策も考える必要があります。生活費、働き方、投資、保険など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、地域事情などにより、教育費のかけ方の適切な選択肢は異なります。ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。

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