公立でもこんなにかかる中学生の塾代!私立中と変わらない?
「どっひゃーっ!中学生の塾の月謝は○万円!年間で○○万円も?そんなにかかるなら、私立中学校に行かせるのとあまり変わらないんじゃないの?」
確かにすごい金額ですよね。
私立中学校なんて経済的に無理だと思い、受験させるつもりがなくても、「その代わりせめて塾にはしっかり通わせてあげたい!」という方も多いのではないでしょうか?中には「うちの子はマイペースだし、個別指導型の塾がいいな。」という方もいるでしょう。
ところが、中学生の塾のカタログを取り寄せたところ、費用を見てビックリ!「こんなにかかるなら、やっぱり私立中学に行かせたほうが良いのかも?」と思うのも無理もありません。
実際に、私立中学校と通わせる場合と比較してどうなのでしょうか?いずれにしても、将来の家計を維持できることが重要ですが、大丈夫なのでしょうか?
・公立中学でも塾代が高くつくことに驚いている人。
・そのため、私立に通わせたほうが良いのではないかと迷っている人。
この記事では、将来の金融資産残高の推移をシミュレーションすることで検証します。特に中学生以降は学校や塾の選択肢が広がり、青天井になりやすい教育費ですが、将来の家計を見通し、適切に配分しましょう。
公立中でも塾の費用を考えると私立並み?
塾代も様々ですが、一般的には塾代が高いと言っても、私立中の学習費の比ではありません。
そのことは次の統計データから分かります。では、中学生の学習費の実態を見てみましょう。
中学生の学習費、公立と私立では?
中学生にはどれくらいの学習費がかかっているのでしょうか?また、公立と私立でどれくらい違うのでしょうか?
「令和3年度 子供の学習費調査」(文部科学省)(※)を加工して作成 した次の表によると、学習費総額(学校教育費、学校給食費、学校外活動費を含む)は、圧倒的に私立のほうが大きいです。「あれ?公立の場合でも、こんなに塾代が高くつくはずなのに・・・?」と疑問に感じるかもしれませんね。
中学生の年間学習費 | 公立 | 比較 | 私立 | |||
学習費総額 | 538,799 | << | 1,436,353 | |||
学校教育費 | 132,349 | << | 1,061,350 | |||
学校給食費 | 37,670 | > | 7,227 | |||
学校外活動費 | 368,780 | ≒ | 367,776 | |||
補助学習費 | 303,136 | > | 262,322 | |||
家庭内学習費 | 16,276 | < | 40,028 | |||
通信教育・家庭教師費 | 29,379 | < | 36,964 | |||
学習塾費 | 250,196 | > | 175,435 | |||
その他 | 7,285 | < | 9,895 | |||
その他の学校外活動費 | 65,644 | < | 105,454 | |||
「令和3年度 子供の学習費調査」(文部科学省)(※)を加工して作成 ※ https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-100012573_3a.pdf |
内訳をよく見てみると、確かに学習塾費は公立のほうが大きいのですが、私立では、そもそも「学校教育費」が桁違いにおおきく、塾代どころの差ではないことが分かります。
それでは、塾の選び方や公立・私立により、将来の家計への影響はどのようになるのでしょうか?この記事では、次のシナリオの設定条件でシミュレーションしてみます。
シミュレーション
〜公立中・私立中の選択と塾の選択でどうなる?〜
シナリオの設定条件
- 家族条件
家族条件 | 歳(現在) | 生計から外れる |
夫 | 30 | 100歳で死亡 |
妻 | 27 | 100歳で死亡 |
第1子 | 0 | 23歳で独立 |
第2子 | 3年後に誕生 | 23歳で独立 |
- 教育費条件
次の3つのケースを想定します。
年間教育費 (学校教育費、学校給食費、学校外活動費含む) | |||
学年 | ケース1 | ケース2 | ケース3 |
小学校 (高学年) | 35.3 (公立小) | 35.3 (公立小) | 61 (公立小+私立受験のための塾) |
中学校 | 53.9 (公立中+平均的な塾) | 89.9 (公立中+高額な塾) | 143.6 (私立中) |
- その他の詳細データはこちらを参照
1. 公立中学校、平均的な塾
ではまず、公立中学校で、平均的な塾に通わせた場合についてシミュレーションしてみます。このケースでは、公立中学校の学習費総額の平均(53.9万円/年)を想定しています。(塾以外にも様々な学習費を含めると、公立でもこんなにかかるのです。)
さてこの場合、将来の家計をはどうなるのでしょうか?
このケースでは、将来の家計を維持できそうですね。
2. 公立中学校、高額な塾
では次に、公立中学校で高額な塾に通わせた場合についてシミュレーションしてみます。「うちの子はマイペースだし、目立たないので、集団塾だと埋もれてしまいそう・・・。みんなのペースに付いていけるかな・・・?」との不安から、高くついても個別指導型の塾が本人に合っていると考えたのです。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?
教育費のピークや老後の終末期に多少心もとないですが、その他の収支の調整で、まだ現実的に手が届く範囲ではないでしょうか?
3. 私立中学校
では最後に、私立中学校に通わせた場合についてシミュレーションしてみます。この場合、私立中学校の学校教育費もさることながら、小学校の高学年から私立受験用の塾にも高額な費用がかかります。この場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?
なんと、その後の教育費のピークが来る50代や、老後の80代以降で資金ショートしてしまいますね。やはり私立中学校の学習費の家計への影響は、塾代ほど可愛いものではありませんでした。
まとめ
公立中学校でもこんなに塾代がかかるなら、私立中学校に行かせても変わらないのでは?という考えは甘かったですね。私立中学校の学校教育費は塾代より桁違いに大きいのです。
しかし、それでも中学生の塾代は馬鹿にならず、ビックリする方もいるでしょう。また、塾代にも幅がありますが、我が子に合った塾を選ぼうとすると、費用面ではそんなに選べないかもしれません。
そのため、貯め時である小学生のうちから、中学生以降で必要になる教育費を把握し、計画的に準備しておくことをお勧めします。
とはいえ、個人の価値観や諸事情により、どうしても蓄えができないまま子どもが中学生に突入し、今の教育費を優先せざるを得ないケースもあります。その場合、その後の家計で慌てないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。