憧れのマイカー!自動車ローンで買おうかな?

憧れのマイカー!自動車ローンで買おうかな?

マイカーを購入するときのワクワク感はたまりませんね。「クルマがあれば子連れの買い物も楽になる!」「海や山にもお出かけできる!」「今人気の新車のSUV、カッコいいな〜」などと、目的や好みは様々ですが、いずれにしても夢が膨らみますね。

そんな喉から手が出るほど欲しいマイカー!試しに自動車ローンの審査を受けてみたところ、「月々◯万円の返済で、◯百万円の車にも手が届く!」と分かったら、一気に現実味を帯びてきて、買おうという気になるかもしれません。

しかし、将来の家計への影響は大丈夫なのでしょうか?日常生活費だけではなく、教育資金、住宅資金、老後資金という三大資金の大波も乗り越えて行かなければなりません。クルマは大きな買い物ですから、長期的に将来の家計を維持できる見通しのもと、購入計画をすることをお勧めします。

この記事で分かること
クルマの購入計画の大前提は、
・将来の家計を維持できること。
・子どもの進路など、想定される不確定要素にも耐えられること。

具体的には次の方法でこれらを見ます。

  • 将来の金融資産残高の推移をシミュレーション
  • 金融資産残高をプラスに維持できるように車の購入価格・時期、支払い方法を調整

ワクワクしながらクルマを購入しようとしているときには、将来必要になる他の資金にまで気が回らないかもしれませんが、将来の家計を見通し、適切に配分しましょう。

根強い新車志向

欲しいクルマが高いならば、低価格で買える中古車を選ぶというのも一つの選択肢です。しかし、若い世代の方が新車を買ったという話を意外と聞くのではないでしょうか?

内閣府の消費動向調査 / 令和4年3月調査のデータを元に作成した次の表によると、二人以上の世帯で、新車で購入したクルマの普及率は、29歳以下でも3割以上、30代以降は5割以上となっています。

世帯主の
年齢階級
乗用車の普及率(%)
新車で購入
したもの
中古車で購入
したもの
29歳以下33.347.4
30~39歳54.743
40~49歳64.735.5
50~59歳6734.8
60~69歳7029.7
70歳以上56.724.2
出所:消費動向調査 / 令和4年3月調査(内閣府)のデータを元に作成。二人以上の世帯の乗用車の普及率。

まだ人生の不確定要素が多い20〜30代の世帯が、新車で購入したクルマを持っていることに驚かされます。これから先の三大資金を含め、将来の家計を見通しているならよいのですが・・・。

この記事では、次のシナリオでクルマを購入したときの将来の家計についてシミュレーションしてみます。

シミュレーション

シナリオの設定条件
〜車のローンはきつい?貯金いくら残す?〜

  • 家族条件
家族条件歳(現在)生計から外れる
30100歳で死亡
27100歳で死亡
第1子023歳で独立
第2子3年後に誕生23歳で独立
  • その他の詳細データはこちらを参照。

1. ローンで購入、私立進学はきつい?

ではまず、クルマをローンで購入するケースについてシミュレーションしてみます。次の表のとおり10年おきに購入し、子どもたちは高校以降で私立に進学するものとします。31歳、41歳の各購入時点では、まだ教育費のピークを迎える前で、毎月5万円の自動車ローン返済でも何とか払えるだろうと思い、400万円台のクルマを購入するものとします。

購入時
夫年齢 (歳)
車価格(万円)
※1
ローン返済
月額(万円)※2
314465
414035
512273
612063
711863
※1:夫30歳時点の物価水準で表示、価格上昇率1%想定
※2:いずれも全額借入(元利均等, 5%, 10年)

すると、将来の金融資産残高はどうなるでしょうか?

1. ローンで購入、私立進学はきつい?

このままでは、50代の教育費のピークの時期や、70代以降の老後に資金ショートしてしまいますね。後からピークが来る教育資金や、ずっと先の老後資金は、なかなか30代でピンとこないかもしれませんが、しっかりと見積もっておく必要がありましたね。

2. 現金で購入、貯金残せば私立進学も?

では次に、現金でクルマを購入するケースについてシミュレーションしてみます。

今回はクルマの購入価格も控えめにし、購入間隔もケース1より長く取ることで、人生を通して購入する回数も1度減らします。

また、憧れの高いクルマを買う判断は子どもの進路の見通しが立つまでお預けとします。結局、子どもたちが私立高校・私立大学に進学することになって、クルマより教育費を優先させるケースを想定します。

購入時
夫年齢 (歳)
車価格(万円) ※
31140
43140
56140
69140
※夫30歳時点の物価水準で表示、価格上昇率1%想定
いずれも一括購入

この場合の将来の家計はどうなるでしょうか?

2. 現金で購入、私立進学

憧れのクルマに手は届きませんでしたが、子どもたちの私立高校・私立大学への進学費用を確保できました。当初から優先度づけができていたので、納得できると思います。

3. 現金で購入、公立進学なら?

では、ケース2と同様に、憧れの高い車を買う判断は子どもの進路の見通しが立つまでお預けとし、結局、子どもたちが公立高校・国公立大学に進学した場合を想定します。

夫56歳の買い替え時点で第2子も独立し、私立に進学しなかった分の余裕資金が残っていますので、以降、憧れの高いクルマを買えることになります。

購入時
夫年齢 (歳)
車価格(万円) ※
31140
43140
56450
69450
※夫30歳時点の物価水準で表示、価格上昇率1%想定
いずれも一括購入
3. 現金で購入、公立進学

子どもには進路の選択肢を与えつつ、結果として憧れのクルマを買うことも実現でき、大満足ですね。

まとめ

「クルマを買いたい!」と思っているときに、将来の他の大きな出費のことには意識が回りにくいかもしれません。しかし、日常生活費だけではなく、教育資金、住宅資金、老後資金という三大資金の大波が待っていることも忘れてはなりません。長期的に将来の家計を維持できる見通しのもと、クルマの購入計画をすることをお勧めします。

ケース1.のように、将来の家計を維持できないほどの自動車ローンを組んでしまうと大変ですね。自動車ローンの審査の対象はあくまでその人の「返済能力」であり、「家計維持能力」ではありません。「家計維持能力」は自分で審査する必要があります。その方法として、この記事でご紹介したような将来家計のシミュレーションをしてみてはいかがでしょうか?

とはいえ、個人の価値観や諸事情により、どうしてもマイカー購入を優先せざるを得ないケースもあります。その場合、他の大きな資金が必要になってから慌てないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。

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