投資が怖い理由は?余剰資金はいくらか計算して損失回避バイアスを克服!

投資が怖くて始められないという方もいるでしょう。株価はもう天井で、今は危険ではないかと考えているうちに時間だけが過ぎ、気づけば相場はまた上昇…。友人など周囲の投資家が儲けている話を聞くと、「もっと早く投資していれば…」と後悔するかもしれませんね。
投資が怖い理由は、人間が損失を強く避けようとする損失回避バイアスがあるからです。この心理は生活資金や将来のお金を守るための自然なものです。大切なのは勇気ではなく、余剰資金がいくらなのか計算することです。
この記事では、投資が怖くなる心理を整理し、余剰資金を数字で計算する方法を解説します。感情に振り回されず、冷静に判断しましょう。
・投資が怖くて始められない人
・元本割れが不安な人
・余剰資金が分からない人
投資が怖い理由
みんなどれくらい投資している?
皆さんはどれくらい投資しているのでしょうか?「家計簿からみたファミリーライフ」(総務省統計局)のデータをもとに作成した次の表によると、二人以上の世帯では、貯蓄の構成比が次のようになっています。
| 貯蓄の種類 | 構成比(二人以上の世帯、2024年) |
| 定期性預貯金 | 27.1% |
| 通貨性預貯金 | 34.9% |
| 有価証券 | 19.0% |
| 生命保険など | 17.5% |
| 金融機関外 | 1.5% |
https://www.stat.go.jp/data/kakei/family/05.html
預貯金が6割以上に対して、有価証券はわずか2割足らずなのですね。
多くの人にある不安
投資が怖いと感じるのは、次のような不安があるからです。
- 株価が下落したらどうしよう
- 元本割れしたら生活に影響しないか
- 含み損を抱えるのは精神的に耐えられるだろうか
さらに、ニュースでの暴落報道や、身近な人の失敗談を聞くと、その不安は一気に大きくなります。人はポジティブな情報より、ネガティブな情報に強く反応する傾向があるためです。
損失回避バイアスとは(行動経済学)
この心理を説明するのが損失回避バイアスです。行動経済学では、人は得することよりも、損することの方を強く感じるとされています。
投資の場面では、利益が出る可能性より、損をする可能性が過剰に意識され、結果として何もしないという選択を取りがちになります。
損失回避バイアスは悪い?
損失回避バイアスは、決して悪いことではありません。生活資金や住宅資金、子どもの教育費など、失えないお金を守るための自然な反応です。
むしろ問題なのは、必要なお金と投資に回せるお金を区別していないことです。この区別ができていないと、必要なお金を失うかもしれないという恐怖で、非合理的な判断になることがあります。
もっと早く投資すればよかったと後悔
相場は後からしか正解が分からない
「今思えば、あの時が買い時だった…」というのは、結果を見た後だから言えることです。相場の天井や底を事前に当てることは、専門家でも難しいくらいです。
しかし、上がった後に振り返ると、簡単だったかのように錯覚してしまいます。まるで手品のタネ明かしを受けると、それだけかと思ってしまうことのようですね。
友人・周囲の成功体験が後悔に?
友人や周囲の成功談は、得したことばかりが強調されがちです。その過程で、どれだけ不安を感じたか、どんな失敗を経験したかは見えにくいものです。
どうしても隣の田んぼは青く見え、自分が取り残されたという感覚から、後悔が生まれやすくなります。
損失回避バイアス克服には余剰資金の計算を
余剰資金とは(必要資金との違い)
余剰資金とは、当面使う予定がなく、価格変動があっても生活に影響しないお金です。
具体的には、現在の生活費や、使うことが決まっている教育資金、住宅資金、さらに生活防衛資金(※)などを除いた資金です。
※生活防衛資金については次の記事を参照してください。
余剰資金が分からないと?
余剰資金が曖昧なままだと、相場が下落した時のことを思い浮かべ、次のような不安が一気に高まります。
- これでは生活に困る!
- 住宅ローンの返済はどうなる?
- 子どもの進学費用を出せなくなる…
これらを回避したいという思いから、なかなか投資を始められないのも無理もありません。
この損失回避バイアスを克服するためには、余剰資金を計算することをお勧めします。いくらまでなら大丈夫かが数字で明確になると、人は冷静に判断しやすいからです。
余剰資金を簡単に計算するには?
次のステップで、将来の家計のシミュレーションをすることをお勧めします。
- 現在の金融資産を棚卸する
- ライフプランに基づき、今後の収入と支出を整理する
- 将来の金融資産残高をグラフにし、価格変動しても困らない金額を算出する
では実際に、どのように余剰資金を計算できるのでしょうか?この記事では次のシナリオの設定条件でシミュレーションしてみます。
シミュレーション
〜余剰資金の範囲かどう判断?〜
シナリオの設定条件
- 家族条件
| 家族条件 | 歳(現在) | 生計から外れる |
| 夫 | 30 | 100歳で死亡 |
| 妻 | 27 | 100歳で死亡 |
| 第1子 | 0 | 23歳で独立 |
| 第2子 | 3年後に誕生 | 23歳で独立 |
- 余剰資金
最も金融資産が減る夫55歳時点でも、生活防衛資金として最低500万円あれば、残りは余剰資金と考える。 - ケース2の運用
- 年平均利回り3%
- ただし、相場の状況により最悪半分に価格が下落する可能性があるとする。
- その他の詳細データはこちらを参照。
1.怖くて投資できないと
ではまず、怖くて投資を始められなかった場合について計算してみます。このケースでは、金融資産は全額現金のままだったのです。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

そんなに怖がらなくても、教育費ピークの50代を乗り越えられそうですね。一番資産が減る夫55歳時点でも、970万円ほど貯金があります。
緊急時の生活防衛資金として、せいぜい約500万円あればよいと考えると、残り500万円を夫55歳時点の余剰資金と考えられそうです。
2.毎月3万の投資は余剰資金の範囲?
では次に、仮に毎月3万円(=年間36万円)を投資に回した場合について、シミュレーションしてみます。最も資産が減る夫55歳時点の金融資産残高は、どうなるでしょうか?

夫55歳時点で現金はほぼなくなりますが、運用資産が1400万円近くありますね。これなら、仮に相場が悪くて運用資産が半分(約700万円)になったとしても、換金することで生活防衛資金(このシナリオの設定では500万円)となります。毎月3万円の投資は余剰資金の範囲内でしたね。
まとめ
投資が怖いと感じる理由は、人間が本来持っている損失回避バイアスという心理にあります。損失を避けようとする反応自体は、生活資金や将来のお金を守るための自然な反応でもあります。
しかし、必要資金と余剰資金を区別しないまま投資を考えると、不安や恐怖が強まり、感情的な投資判断につながりやすくなります。
大切なのは、余剰資金はいくらかを数字で把握することです。そうすれば、価格変動があっても冷静に行動でき、損失回避バイアスの克服につながるでしょう。家計シミュレーションの定期的な見直しも実施し、上手に不安と付き合っていきましょう。
とはいえ、個人の価値観や諸事情により、どうしても投資を始められないケースもあります。その場合、あの時投資を始めておけば家計がもっと楽だったのにと後悔しないように、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。
