住宅ローンをボーナスで?ダウンやカットで慌てないためには?

住宅ローンをボーナスで?ダウンやカットで慌てないためには?

「まさか!ボーナスがこんなに減るなんて・・・。ボーナスからも返済すれば住宅ローンを無難に返せると思っていたのに・・・。」

住宅ローンを組んだ後にこんな状況になったら大変ですよね。

◯千万円もする夢のマイホームを手に入れるには、毎月の住宅ローン返済額は△万円も!やっぱり無理か・・・とがっかりしていたところへ、営業マンから「例えば、ボーナスからこれだけ返済すれば、月々の負担はこれだけで済みますよ。」と聞いたら、どうしますか?

「なるほど!今までボーナスは多少余ってきたし、それを返済に回せば、毎月の負担額も意外と大したことないんだな。」と納得し、その一言が決め手になるかもしれませんね。

ところが、それまで羽振りの良かった会社の業績が急に低迷し、まさかのボーナスカット!業界的にもこの先伸び悩むことは必至なので、今後もボーナス額が元のように戻る見込みナシ・・・。というような状況になったら、さあ大変!これから子どもの教育費もかかってくるし、老後生活もお先真っ暗・・・。

こんなことならボーナス返済なんてしなければよかった、と後悔しても後の祭りです。

ボーナスのダウンやカットで慌てないためには、どのように住宅ローンを返済をすればよいのでしょうか?

この記事で分かること
住宅ローンをボーナスで返済する場合に慌てない方法

ボーナス頼みで慌てないためには?

  • 「長期の計画的な」ボーナス返済は慎重にすべき。
    勤め先の会社の業績が良いときはついついボーナスを当てにしてしまいがちですが、ボーナスは会社の業績にも影響を受けやすく、長期的に安定してもらえるとは限らないためです。
  • 将来家計を見通して、ボーナスで「臨時の繰り上げ」は問題なし。
    シミュレーションにより、臨時でボーナスを繰り上げ返済に使っても将来の金融資産残高のプラスに維持できる見通しなら安心です。

世間のボーナス事情は?

自分が今いる世界以外のボーナス事情はあまり知らず、ピンとこないのではないでしょうか?

「毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等」(厚生労働省)(※)を加工して作成した次の表によると、支給額や支給の有無は、業界や事業所規模に大きく依存していることが分かりますね。

令和4年年末賞与(事業所規模5人以上)
 支給事業所の
平均額(円/人)
支給事業所数の割合(%)
産業別
調査産業計392,97570.5
電気・ガス業805,88090.3
情報通信業662,76875.1
生活関連サービス等164,32450.8
飲食サービス業等67,60554.9
事業所規模別
500人以上642,34997.4
100~499人452,89293.6
30~99人354,64590.1
5~29人274,65167.3
「毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等」(厚生労働省)(※)を加工して作成

※https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2302p/dl/pdf2302p.pdf

自分の世界との違いに、ちょっとビックリした方もいるかもしれませんね。

また、同じ業界や事業規模でも、個々の企業などにより、経営状況も様々であり、場合によっては、突然ボーナスがダウンする、もしくは無支給になるおそれもあります。

長期で支払い続ける住宅ローンの返済計画をする際には、今のボーナスが続くことを当然だと思わないほうが良いでしょう。

では、ボーナスダウンの影響は、将来の家計にどのように影響するのでしょうか?この記事では、次のシナリオの設定条件でシミュレーションしてみます。

シミュレーション
〜ボーナスダウンの影響、安心の返済方法は?〜

シナリオの設定条件

  • 家族条件
家族条件歳(現在)生計から外れる
30100歳で死亡
27100歳で死亡
第1子023歳で独立
第2子3年後に誕生23歳で独立
  • 給与・賞与と住宅資金の条件

以下のシミュレーションのケース1〜4では、それぞれ次の条件とします。

条件項目ケース1ケース2ケース3ケース4
給与・賞与合計
(万円/年)
(変動率:1%、
夫30時現在価値)
450
(夫30-60歳)
450 (夫30-40歳)
400 (夫41-60歳)
(ボーナスダウン)
住宅ローン借入額 (万円)33002600
毎月返済額
(万円/月、賞与時分除く)
11
(夫36-63歳)
賞与時返済額
(万円/半年)
30
(夫36-62歳)
0
30
(夫36-40歳の余裕時のみ)
支払い金利
総額 (万円)
116211621026795
  • その他の詳細データはこちらを参照

1. ボーナスに頼る返済計画

ではまず、ボーナス返済をずっと続ける前提で、住宅ローンの借入額を3300万円とした場合についてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

1. ボーナスに頼る返済計画

今までのボーナス水準が今後も続く前提であれば、問題ないことを確認できますね。

しかし、その前提が崩れたら・・・と気になりますよね。

2. ボーナスダウンで窮地に

では次に、ケース1と同じ条件で住宅ローンを組み、ボーナスがダウンしてしまった場合についてシミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

2. ボーナスダウンで窮地に

頼りにしていたボーナスがダウンしてしまうと、将来の家計は窮地に陥ってしまいますね。教育費のピークの時期や老後にも、資金ショートしてしまいます。

3. ボーナス返済なし

では次に、ボーナス返済を一切せずに返せるように、借入額を2600万円に抑えたケースについて、シミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

3. ボーナス返済なし

ボーナスに頼らずに返済できるように借入額を抑えることで、一生安心して暮らせそうですね。

でも、理想のマイホームよりも物件の価格帯を下げたため、羽振りが良い間は「本当はもっと借りて、もっと返せるのに・・・。」と、不完全燃焼のように感じるかもしれません。

4. 余力範囲でボーナス返済はOK

では最後に、ケース3と同様に、ボーナス返済に頼らずに返せる借入額(2600万円)に抑えたまま、羽振りが良い間だけ繰り上げ返済をしてみます。つまり、ボーナスダウンした後は、無理して繰り上げ返済をしないのです。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

4. 余力範囲でボーナス返済はOK

この場合、人生の最後の金融資産残高がケース3.よりも増えていることに気づくでしょう。これは、ケース3に比べてケース4のほうが、繰り上げ返済をした分、金利負担総額が200万円以上少なくて済むためです。これを生活や各種ライフイベントなどに回すことができ、その分、豊かな人生を送ることができるといいですね。理想のマイホームにはならなかったかもしれませんが、他の部分で豊かさを感じることができて、結果オーライということもあるのです。

まとめ

住宅ローンを長期的に何十年間も払い続ける間、今の水準のボーナスがずっと支給されるとは限りません。そのため、ボーナス返済を前提とした住宅ローンを組むのは慎重になることをお勧めします。

しかしこれは、ボーナスで一切返済してはいけないという意味ではありません。あらかじめボーナスに頼らなくても返せる借入額をもとに購入予算を立てておき、将来の家計の余裕を見通せる範囲でボーナスから繰り上げ返済するのは問題ありません。

ボーナスのような自分でコントロールできないものを前提とせず、繰り上げ返済のように自分でコントロールできる方法で、人生の豊かさを追求してみてはいかがでしょうか?

とはいえ、個人の価値観や諸事情により、どうしてもボーナス払いを前提として購入予算を立てざるを得ないケースもあります。その場合、ボーナスダウンしてから慌てないように厳しく見積もり、対策を考えておくことをお勧めします。生活費、教育費、働き方、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。

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