私立高校3年間の学費!実質無償化でも家計が苦しいなら?

私立高校3年間の学費!実質無償化でも家計が苦しいなら?

「私立高校の学費がこんなにきついなんて、家計が苦しい!もう払えないよ…」

子どもが私立高校に入学してから急に出費が増え、悩んでいる家庭は少なくありません。実質無償化と聞いて安心していたのに、授業料以外の費用が次々と増え、公立高校に比べて私立の負担は重く感じられることでしょう。

無償化のはずなのに、こんなに苦しいのはおかしいと思うかもしれません。しかし、授業料以外の学費やその他の必要な費用が積み重なり、私立高校では予想外の出費が多いのが現実です。

このような状況で、私立高校の学費を支払うために、家計をどのようにやりくりすればよいのでしょうか?

この記事で分かること
・私立高校への進学に備えた長期的な準備の重要性。
・私立高校の学費がきつい・払えないときの対処方法。

この記事では将来の金融資産残高の推移をシミュレーションすることで、これらを検証します。

私立高校の学費はきつい!払えない!ならば?

  • 第一に、子どもが小さいうちから長期的に少しずつ準備しておくことをお勧めします。
  • 準備できていない場合の対策としては、次の痛みを伴う方法があります。
    1. 仕事(収入)を増やす。
    2. 生活費(支出)を減らす。
    3. 教育ローン(借金)を背負う。

このように何らかの対応を取るためには、私立高校の学習費にどれくらいかかるのかを把握しておく必要がありますね。

高校の学習費の実態は?
〜実質無償化でもこんなに学費がきつい?どうしてる?〜

高校の学習費(実質無償化される授業料以外)はどれくらいかかるのでしょうか?「令和3年度子供の学習費調査」(文部科学省)を加工して作成した次の表によると、高校3年間で私立のほうが100万円近くも多くかかる傾向があります。

高等学校(全日制)の年間学習費(円)
(実質無償化を適用した場合※)
区分公立私立
学校教育費入学金等16,14371,844
授業料無償化(※)無償化(※)
修学旅行費用等19,55626,549
学校納付金等32,805115,808
図書・学用品・実習材料費等53,10364,259
教科外活動費39,39547,013
通学関係費91,169129,155
その他4,9707,291
小計257,141461,919
学校外教育費補助学習費171,377246,639
その他学校外活動費32,33357,443
小計203,710304,082
年間合計460,851766,001
3年間合計1,382,5532,298,003
「令和3年度子供の学習費調査」(文部科学省) (https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00001.html)を加工して作成。
※授業料の実質無償化は上限や適用されない場合もあり、統計上は授業料はゼロではない。この表では、実質無償化されたケースを想定し、著者があえて合計に算入していない。

もともと公立と私立では授業料に大きな差があるため、それが実質無償化されたことで、確かに私立高校のハードルが低くなったと言えます。しかし、授業料以外にもかかる様々な学習費を考えると、「公立も私立も変わらない」と思うのは間違いですね。みんな私立高校の学費をどうしてるの?と聞きたくもなるでしょう。

では、私立高校の学費は家計にどのように影響し、対策効果はどうなのでしょうか?この記事では、次のシナリオの設定条件で将来の家計をシミュレーションしてみます。

シミュレーション
〜私立高校の学費を払えない・足りない場合の対策と効果は?〜

シナリオの設定条件

  • 家族条件
家族条件歳(現在)生計から外れる
30100歳で死亡
27100歳で死亡
第1子023歳で独立
第2子3年後に誕生23歳で独立
  • 比較項目
    次の4つのケースについてシミュレーションしてみます。
比較項目ケース1ケース2ケース3ケース4
私立高校の学費の準備できていないできている
対策しない生活費減、教育ローン妻がフルタイム勤務不要
  • いずれのケースでも大学の学費は一部を奨学金で賄う(将来、子どもに返済負担を負わせる)条件は同じとする。
  • その他の詳細データはこちらを参照。

1. 私立高校の学費準備できていないと

ではまず、私立高校の学費を準備できていないケースについて、シミュレーションしてみます。特に対策を何も打たなかった場合、将来の家計はどうなるのでしょうか?

1. 私立高校の学費準備できていないと
1. 私立高校の学費準備できていないと

ああ・・・。これから教育費のピークだというときに資金ショートしてしまいました。夫定年時の退職金で一時的に金融資産がプラスに回復したのもつかの間、老後にもまた資金ショートしてしまいますね。これでは何らかの対策を打つしかありません。

2. 生活費減らす&教育ローンで足りない分をしのぐ

では次に、私立高校の学費を準備できていないため、40代から慌てて節約生活に切り替え、それでも足りない部分を教育ローンでしのぐことにした場合について、シミュレーションしてみます。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

2. 生活費減らす&教育ローンでしのぐ
2. 生活費減らす&教育ローンで足りない分をしのぐ

私立高校の学費は教育ローンで何とか賄ったものの、各子どもが自立してから、親が返済することになります。その負担もあり、それでも50代後半で金融資産がほとんど手元に残らない状態になってしまいました。教育ローンにまで手を出さざるを得ない状況というのは、かなり危なかっしい綱渡りですね。

3. 妻がフルタイムで働いて補う

では次に、それまでパートで働いていた妻がフルタイム勤務に切り替えて、年収を100万円ほどを増やす場合について、シミュレーションしてみます。なお、生活費はケース1と同様に元のレベルを維持します。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

3. 妻がフルタイムで働いて補う
3. 妻がフルタイムで働いて補う

それでも教育費のピーク時は資金ショートしてしまいかねない状況ですね。しかし、生活レベルは元のレベルを維持でき、また、老後の生活にもかなりゆとりを持てそうです。
一方、妻がフルタイムで勤務することによって、妻の仕事の負担は当然増えます。さらに、それまで妻がしていた家事の分担を見直すなど、家庭内での協力も欠かせないでしょう。ここで家庭内の不和が起きないようにしたいですね。

4. 事前に備えておけば安心

では最後に、事前に長期で学費を準備してきたケースについてシミュレーションしてみます。子どもが生まれる前から、将来を見越して堅実に貯金をしてきたものとします。この場合、将来の家計はどうなるでしょうか?

4. 事前に備えておけば安心
4. 事前に備えておけば安心

私立高校に進学するにあたっては、特に慌てることもなく対策は不要ですね。教育費のピークも老後も安心です。

まとめ

私立高校3年間にかかる学費は公立高校の場合に比べて100万円近くも多くかかる傾向があります。実質無償化される授業料以外にどれだけ学習費がかかるのかを把握し、事前に準備しておくことをお勧めします。もし準備できていないまま私立高校へ進学する場合は、痛みを伴う対策もやむを得ません。生活費の節約、教育ローン、働き方などでどのような対策を取るのか家族でよく話し合い、家族の協力体制で乗り切りましょう。

とはいえ、個人の価値観や諸事情により、どうしても私立高校の学習費を準備できず、でも私立高校に進学せざるを得ないケースもあります。その場合、生活費、教育費、働き方以外にも、投資、保険、節税など、様々な面での見直し方法がありますので、総合的に見直すと良いでしょう。

個人の価値観、収入、資産、家族構成、家庭事情などにより、優先度は異なりますので、ご自身のケースではどうなのか試算してみなければわかりません。ここでご紹介したようなシミュレーションをもとに対策を考えたい方は、ぜひFP(ファイナンシャルプランナー)というお金の専門家に相談してみることをお勧めします。きっとあなたが気づいていない課題についても掘り起こし、広い視点からアドバイスがもらえることでしょう。

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